● ページ37
青年の姿が儚くて思わずそう言ってしまう。
大貴も賑やかな方が嬉しいだろうし。
それに、この人多分俺たちと同じくらいの歳じゃないかなあ。
さすがに初対面の人に聞けないけど。
男性は驚いたように少し目を見開き、おそるおそるといった感じで口を開いた。
「いいんですか、？」
「もちろん！って俺が言うのも変ですけど、大貴、あ、恋人の名前なんですけど、大貴も喜ぶと思います。」
俺がそう言えば男性の端正な顔がぱあっと輝いた。
「ありがとうございます！早速明日ご挨拶行ってみますね！」
今日会ってみればいいのにと一瞬思ったが、男性の点滴スタンドを持つ手に力が入ってきているのを見て思い直す。
こんな若いのに病気と闘っていてすごいな。
「ぜひぜひ」
俺がそう言えば男性は嬉しそうに微笑み、パタパタと手を振って隣の病室に入っていこうとした。
あ。
肝心なことを聞くのを忘れていた。
「あの、貴方の名前はなんですか？」
男性はもう一度くるりと振り向き、にこーっと笑って言った。
「山田涼介です！」
山田さん、ね。
覚えた覚えた。
「ありがとうございます」
「いえ、伊野尾さんも大貴さんとごゆっくり。」
山田さんはそう言って病室へ消えていった。
なんていうか、不思議な人だったな。
同世代と最近話してなかったし、面白かった。
大貴にも報告しなきゃ、と笑顔でドアノブに手をかけた瞬間
ふと思った。
あれ、俺あの人に名前教えたっけ？
一瞬背中をぞくっと気持ちの悪い気配が撫でるが、慌てて考え直す。
山田さんは俺が勤務してる病院に入院したこともあったのかもしれない。
そうだそうだ。
それで名前を知っていたんだ。
自分にそう言い聞かせながら、病室の扉を開いた。
「ただいま、大貴。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃん(プロフ) - 匿名さん» ご指摘ありがとうございました。普通にミスです、すみませんでした、、 (3月7日 23時) (
レス) id: 596977d8b6 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - オリジナルフラグが立ってます.. 二次創作なのでオリジナルフラグは消した方がいいと思われます.. (3月5日 2時) (レス) id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃん | 作成日時：2024年3月3日 20時
