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それから数時間後、大貴は意識が朦朧としてきて結局その日の夜中にボクの手の届かない所へ逝ってしまった。
死因は多臓器不全。
最期はきっと痛み止めも意味をなしてなかったはずなのに、大貴は穏やかな表情をしていた。
皆さんに罪悪感を抱かせたくないっていう大貴のたっての願いで病院の患者たちには亡くなったことを知らせず、転院したと伝えられた。
こうして大貴はみんなの永遠のヒーローとなったのだ。
、、、、そのヒーローはボクのわがままを最期まで聞いてくれなかったし、こうして深い喪失感を残していったけれど。
なにが正解だったのかわからない。
大貴がこの能力を持っていなければ。
ボクがもっと強く大貴を止めていれば。
大貴がお人好しじゃなければ。
様々な「もしも」が頭を巡ったけれど、大貴の最後の顔を見ればそんなものは全て脳内から飛んでいってしまう。
大貴にとって「これ」が正解だったのならボクは受け入れるしかないから。
、、、、、それにお人好しじゃない大貴なんて考えられないし、そんなのきっと大貴じゃない。
だけど、だけどやっぱりね。
今日だけは泣かせてよ。
もう会えないなんて受け入れたくないよ。
ボクを置いていかないで、。
わがままばっかりでごめんね
ずっとずっと大好きだよ。
ボクと出会ってくれて本当にありがとう。
ゆっくり休んでね。
またね俺のヒーロー。
Fin.
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作者名:ちゃん | 作成日時:2024年1月28日 9時