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「大貴がさあ、ほんと小さい頃。
3歳ぐらいかなあ。うん。それくらいの頃。
覚えてる?
めっちゃ治療を嫌がったんだよね。
発作出て絶対辛いだろうに、酸素マスクはつけさせてくれないし、透析も嫌がるしさ。
点滴ひとつ入れるのも一苦労で。
無理やり拘束してつけてもよかったんだけどさ、今後も透析とか点滴とかとはうん。長い付き合いになるじゃん?
だからトラウマにはさせたくないなーって結構薮と悩んで。
で、ある日試しに大貴を膝の上に乗せながら俺の腕にも点滴刺してみたの。
怖くないよーってつもりで。
あ、ただの生理食塩水ね?
そしたら大貴が俺の腕に流れていく液体を見て笑ったんだよ。
『ぴちゃんぴちゃんだ!』って。
俺それがすっげえ可笑しくてさ。
ノリで『大貴もぴちゃんぴちゃんつけてみる?』って言ってみたら、これまで見た事ないくらい大きくうなづいてくれて。
それからも点滴とか透析って言ったらギャン泣きするくせにぴちゃんぴちゃんとかポトポトチックンって言ったら素直に受けてくれるから。
こういう言い方がいいんだなって俺も味をしめて、その名残が今も続いている感じかな。」
父はにこにこと笑いながらそう言った。
⋯⋯全然覚えてないけど。
どうやら、俺も父と同じ感性を持っているみたいだなと可笑しくなってくる
「まあ大貴はいつも治療頑張ってて偉いねって話だよ。」
だけどなんにもさっきの話を要約できていないのにカッコつけてそう言ってくる父はやっぱり変な人だ。
Fin.
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次回移行です!
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作者名:ちゃん | 作成日時:2024年1月28日 9時