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夜、仕事終わりにまた病室に来てくれる父。
「調子はどう?」
「うん。平気」
無理すんなよーって俺の頬を掴む暖かい手。
「大貴のほっぺ、ぷにむちだわ」
なんて言うからその手を思いっきり
「余計なお世話だわ!」
「痛いなあ」と右手を擦りながらも肩を揺らして笑っている父。
「食欲あってよかった」と言いながらまだにやにやしている父をきっと睨む
⋯⋯明日からもう少し散歩しよう。
そう心に決めながら最近ずっと思っていたことを父に尋ねる。
「なんで父さんはさ、変な擬音語ばっかり使うの?」
父が変人だからと言われれば確かにそれまでだが、少し気になる。
いくら抜けてるからって言っても根は頭がいい父だし、しっかりとした言葉で説明しようと思えばできるはずなのに。
父は俺の手をにぎにぎしていた手を止め、少し驚いたように俺を見つめる。
「んー。急に?」
「うん。」
父は困ったように笑いながら言った。
「この言い方嫌だった?」
「、いやそんなことは全然ないけどさ。気になったから。」
父はそっかあと言いながら肩を揺らした。
何がおかしいのか分からない。
父は涙が出るほど笑って、しばらくしてそれを拭いながら少し遠い目をした。
過去をふりかえっているみたいに。
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作者名:ちゃん | 作成日時:2024年1月28日 9時