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変な人 ページ45

大貴(17) 慧(37)

俺の父は変な人だ。


白衣を脱ぎながら、俺の横に座ろうとしている父をちらりと見る。


ふふ、ふふんふん。と鼻歌を唄いながら俺の手を握る父。


相変わらず、のほほんとしている。





「大貴、今日もポトポトチックン頑張った?」






___ほら、変な人でしょう?



もう高校生にもなる息子にそんな言い方する父親なんて居ないだろうというツッコミをぐっと抑えて、答える



「頑張ったよ。」



俺がそう言えば、酸素マスクがふわりと曇るのが少し鬱陶しい。



もう大丈夫だから取りたいんだけど、これ。



「偉い偉い。今日発作もあって辛かったね。」



父は俺のことを心配そうに目を細めながら見て、握ったままの左手を右手でサラサラと撫でる。



「、大したことないよ」



心配をかけたくなくてそう言うけれど、きっと父の方が俺の体のこと、俺よりよくわかっている。



「ん。ちょっとトクトク聞かせてよ。」



そう言って棚に置いていた聴診器を再び首にかける父。



仕方なくシャツのボタンを開けると、ひんやりとした金属が俺の胸に触れる。



父は真剣な表情で俺の心音(トクトク)を聴く。



「ふふ。生きてる。」



ふーっと嬉しそうに息を吐きながら父はそう笑った。



生きてなきゃここにいないだろとツッコミたいのをまたぐっと抑えて俺も釣られて笑う。



父のこのほわんとした笑顔、俺好きだから。



それに聴診器を当てるとたちまち、『お医者さん』の顔になるところも。

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作者名:ちゃん | 作成日時:2024年1月28日 9時

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