眺めがいいね ページ33
※タイトルはマカロニえんぴつさんの同曲からお借りしました🙇🏻♀️
※前半死ネタ
侑李(17) 大貴(37) 雄也(37)
慧(36)
「父さん!!!俺を置いていかないで!だめだよいっちゃ、、、、、!」
先程から不規則になっている心電図の音を掻き消したくて声を張りながら手をそっと握る
テストでいい点を取った時。
体操の大会で優勝した時。
いつもいつも俺のことを撫でてくれた手。
今はあの時より骨ばっているし、俺の涙のせいでびちょびちょだけれど。
それでも、やっぱりまだ暖かった。
「父さん、、、、父さん。嫌だよ!まだだめ、、、、、」
壊れたおもちゃのようにただひたすらそれだけを唱える
「ゆうり、、、、?」
「父さん!!!」
俺の願いが通じたのか父さんがうっすらと目を開けてくれる。
声の出処を探すようにゆらゆらと視線を数秒動かしているから俺はここだよと更に手を強く握る。
あ、父さんと目が合った。
3日ぶり
その事実だけでもさらに涙が止まらない。
「侑李、泣かないで、?父さんは、侑李の、笑っている顔が、大好きだから。」
父さんはそう言いながら俺が握っていた手を俺の頬へ持っていき涙を拭ってくれる。
父さんが、そう言うならと頑張って笑顔を作る
涙は止まらないけれど。
すると酸素マスク越しにふわっと父さんが笑うのがわかる。
「やっぱり、侑李は、笑顔が、似合うね。」
そう言って父さんが再び目を閉じる。
「父さん!!!」
けたたましいアラーム音が鳴り響く中、さっきまで俺の頬を撫でてくれた父さんの手がベッドに落ちる音がやけに耳に響いた。
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作者名:ちゃん | 作成日時:2024年1月28日 9時