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『幸せになれよ!』
そう一言だけ。
その文字を見た瞬間、俺の体に稲妻が走ったみたいに思わず座り込んでしまう。
ところどころインクが滲んでいて、一文字一文字に強い思いが込められていることが痛いほどわかってしまった。
丸っぽくて、1文字1文字主張の強い字。
紛れもない、大貴の字だ
やっぱり、
「夢じゃなかった。」
俺の幻想でも妄想でもなかった
大貴は、確かに昨日。
俺の所へ来てくれていた。
「大貴の大嘘つき、、、、、、、」
昨日約束したじゃん
23:00に起こしてねって
今何時だよ。
7:09だぞ?
8時間もすぎてんじゃねえかよ
大貴は結局またこうして勝手にいなくなる。
約束を破った大貴にも、ぬくぬく寝ていた自分にも、大貴を再び連れて行ってしまった神様にも腹が立って仕方なかった。
「何が『幸せになれよ!』だよ、、、。
言われなくても、、、幸せになってやるよ、、、、、、、。」
腹が立ってるはずなのに涙が溢れて溢れて止まらなかった
今日俺人生一の晴れ舞台なんだけど。
主役をこんなに泣かせんなよ、大バカ大貴。
大貴がこの世の何処にも居ない悔しさと虚しさに耐えられなくて床を右手でポカポカと殴る
左手は彼の最後の手紙を握りしめながら。
会いに来てくれてありがとうって最後にもう一回お礼伝えたかったのに。
ほんとに嬉しかったんだよ。
それさえも伝えさせてくれないなんてやっぱり大貴はずるい。
、、、、俺も絶対幸せになってやるから、大貴も、どうかどうか天国で幸せでありますように。
「、、、来世で絶対答え合わせね。」
俺のその言葉だけが朝日に包まれた部屋に響いた。
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作者名:ちゃん | 作成日時:2024年1月28日 9時