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子鳥のさえずりが遠くの方で聴こえ、目を閉じていても朝日の光を感じる
まだ眠いんだけどなぜだか俺は幸せな気持ちで満たされていた
なにか、幸せな夢を見た気がするんだよな
内容は覚えていないけど。
、、、、、、、幸せな夢?
そうだ、大貴は!?
慌てて跳ね起きるが、隣に大貴はいなかった。
冷たいフローリングの床に足を下ろし、ふらふらと家の中を歩き回る
「大貴ーーー、?」
彼の名前を呼びながら。
キッチン、風呂場、トイレ、ベランダ
どこを探しても大貴はいない
いないはず、ないのに。
昨日約束したもんね。
どこにもいかないって。
だけど頭のどこかではわかっていた
もう大貴はここにいないって。
そもそも大貴が昨日居たと思っていること自体、俺の夢だったんだきっと。
だってやっぱり死んだ人間がこの世に戻ってくるなんて御伽噺が現実にあるはずないもんね。
あれは疲れていた俺が作り出した幻想。
眠気から完全に覚めた脳でそう結論付けするが、俺の手はその結論に納得できないとでも言うようにさっきまで自分が寝ていたベッドをぐしゃぐしゃと触りながら彼のぬくもりを探していた。
それくらいリアルな夢。だったから
、、、、いつまでも今日見た夢に囚われるな、俺。
もう少しで雄也が迎えに来てくれるんだから
なんとか再びベッドから立ち上がり朝ご飯の支度をしようとキッチンにたった時、ダイニングテーブルに一切れの紙が置いてあるのが見えた
あんな紙、昨日置いたっけ。
脳内で昨日の行動を必死に辿りながらも気づけば俺は吸い寄せられるようにその紙を手に取っていた
紙は四つ折りになっていて、ひどく乾燥している上によれていた。
ゆっくりと、その紙を開く。
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作者名:ちゃん | 作成日時:2024年1月28日 9時