純愛夢想倶楽部 (ページ1)

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純愛チュートリアルページ1

トントントン

「純愛夢想倶楽部」と書かれたプレートが掛けられた扉を叩けば「どうぞ」と声が聞こえる

重い扉を勢いよく開ければ豪華な安楽椅子に身を委ねている部長

非公認のサークルのどこからそんなものを買うお金が出てくるんだか。

少々呆れながらも本題に入る。

「部長！！今日も本を借りに来ました、！！」

「お題は、？」

俺の声に合わせてゆっくりと長いまつ毛に覆われた瞼を開く部長

「、、、、じゃあ『純愛で』！」

先程プレートに書かれていた文字を思い出しながらそうリクエストすると、部長は重い腰をあげ本を探し始める

「ってかそもそも『愛』ってなんなんでしょうね、？」

華奢な背中に向かってそう問いかけてみる。

「、、、、大貴は難しいこと聞くね。
んーー。一応辞書には特定の誰かを慈しみ思いやる気持ちって書いてるけど、、俺もよくわかんないや。」

部長は宙を見つめ、すらすらと辞書の文を読んでくれる

密かにこの人の完全記憶能力に憧れてるんだよな、俺。

「部長に分からないんだったら俺は一生その本質を掴むことが出来なさそうです、
、、、、ちなみに部長は誰かを愛したこと、ありますか？」

何気なく聞いたつもりだったのに部長はピタリと動きを止める

一瞬の静寂。

「あるよ。」

部長はたった一言だけそう呟いた。

そのいつもより少し低い声を聞いてなんとなく悟る。

これ以上は踏み込んでは行けないと。

そして部長は何事も無かったように言葉を続ける。

「まあ、この御話たちを読めば少し、わかった気になるかもよ？」

そう言って机に1冊の冊子を置いた。

『純愛夢想倶楽部』とだけ書かれた表紙を瞬時に用意できるとはやっぱり部長は魔法使いみたいだ

「じゃあ、これお借りしていきます！！」

「うん。」

ぱたぱたと手を振る部長に手を振り返して部屋を出る。

早速ベンチに座りページをめくってみる。