太陽と弾丸 Ⅱ (ページ23)

今日:41 hit、昨日:82 hit、合計:7,993 hit

・ページ23

俺はやっぱりまだ飲む気がしないのでホットココアをなるべく冷めないように両手で包むが、横ではカチッとプルタブが開く音がした。

横目で見ると髙木くんは表情一つ変えずにコーヒーを一口口に含み、親指で唇を拭うところだった。

ふーっと息をつく音がする。

「有岡くんさ」

「最近俺の事避けてるよね？」

髙木くんはこちらの方を見ることなく、いともなんともないことのように言った。

自分の唾が飲み込む音がやけに大きく聞こえる。

俺が答えに迷っていると、髙木くんはそれすらも分かっているというようにまた口を開く。

「どうして？」

いつもの髙木くんの優しい声なのに、なぜだか今日は取り調べを受けているような緊張感が俺を襲う。

「慧、のこと。」

『黙秘』を使っても双方にとってメリットがないことはわかっていたから『自白』する。

「うん。」

髙木くんがどんなリアクションをするかによって次の言葉を決めようと思ったが、髙木くんは顔色一つ変えずに、壁に背中を預けて少し天井を見た後「話を続けて」とでも言うように瞼を閉じた。

髙木くんが今どんな気持ちなのか、全く分からなかった。