太陽と弾丸 Ⅱ (ページ22)

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幸か不幸か。

偶然なのか必然なのか。

髙木くんから名前を呼ばれ、思わず体がびくんと反応する。

「うん。」

自然とポケットにある拳銃(ふくらみ)に触れながら、立ち上がる。

髙木くんは安心したような、しかしどこかぎこちない笑みを浮かべ、踵を返した。

黙って髙木くんに着いて行き、公安とHSJの共有休憩スペースへ入っていく。

休みが一般の人たちとは違って不規則な俺たちだが、さすがに平日の午後休憩スペースに来ている人は誰一人いなかった。

髙木くんは自動販売機の前に立ち、振り向いた。

「有岡くん。何飲む？」

「自分で買うからいいよ。」

そう。と髙木くんは俺と入れ替わるように自動販売機を譲ってくれる。

本当は飲み物なんて飲みたい気分じゃなかったけれど、せっかく譲ってくれたからには買うしかない。

ホットとアイスが入り交じり年中変わることのないラインナップを一瞥して、ホットココアを選ぶ。

窓際の細長いベンチに腰かけると、俺に続いてアイスコーヒーを買ったらしい髙木くんが人一人分ぐらい空けて座った。

その絶妙な距離感が今の俺にとっては有難い。

この心拍数が上がっている様子を感じ取られたくなんて、ないから。