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さよならじゃない ページ8

それから1ヶ月後、大貴はギリギリの状態で生きていた。


ほとんど身体が自由に動かせず眠っている、本当にギリギリの状態。


毎日毎日涼介くんや侑李くんを連れて見舞いにいく時間(時には俺1人で)を伸ばすけれど、それと反比例するように大貴の体調は悪化していく。

症状であるてんかん発作も、痛み止めを投与してもらう回数も素人の俺にだって悪化してるのだとわかるくらい増えていた。





────正直、目を逸らしたかった。


大好きで大好きで仕方のない弟が、酸素マスクをして、無数の点滴に繋がれ、沢山の薬を投与されている。


それでも、弟の痛みや苦しみは完全には取り切れていない。


そんな、地獄から目を逸らしたいと、こんなの夢であってくれと思ってしまう俺はやはり最低な兄なのだと思う。


大貴に比べて、何百倍いや何千倍も弱くて情けない兄。



だけど大貴は眠っている時以外はどれだけそれまで苦しそうにしていても俺が来たとわかると微笑んで「ありがとう、兄さん。」と言うのだ。


俺は何もしていないのに。


お前から目を逸らしたいなんて思ってしまう自分でも軽蔑するほどの最低な兄なのに。


こんなに優しくて、純粋で頑張り屋さんの出来すぎた弟じゃなくて俺が病気になっていれば。

今からでも変わってやりたい。


何度そう思ったことだろう。



だけど現実(かみさま)はそんなことを叶えてくれるわけもない。

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作者名:ちゃん | 作成日時:2023年12月21日 18時

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