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咄嗟にこの伊野尾を2人に見せてはいけないという気持ちが働く。

「来ちゃだめだ！！！」

cn「やぶくん、けいにいは、？」

ym「何があったの、？」

2人の声は今にも泣きそうなほど震えていた。

「伊野尾は、大丈夫だから、。俺が呼びに行くまで2人は上にいて。」

2人を怖がらせていることは重々わかっているが、強い口調になってしまう。

一瞬しーんと静まり返るが、直後に2人が躊躇うように階段をゆっくりと昇っていく音がする。

そのことに少し安堵を抱きながら再度伊野尾の肩を叩く。

、、、反応なし。

自然と手がその白い首筋に伸びる。

脈が異常な程に遅かった。

「っ。」

伊野尾とは対照的にばくばくとうるさい音を立てる心臓を落ち着けるように深く息を吐きながらスマホを取りだし迷うことなく『119』を押す。

「こちら○○消防署です。火事ですか、救急ですか？」

男性の声が聞こえる。

「、救急です。」

自分の口から発せられたものとは思えないくらい弱々しい声だった。

・

電話が切れたあとは静寂が再び訪れる。

手が落ち着かなくて、伊野尾の手を握るとひんやりと冷たかった。

それが俺の不安をさらに掻き立てる。

考えるなと脳内が警報をだすが、あの子の遺体の温度に似ていると思ってしまう。

通夜の時、見たあの子の最期の顔。

目を閉じている姿はやっぱり兄弟なんだと痛感させるくらい似ているし。

「伊野尾。絶対死ぬんじゃねぇぞ。」

どうかもう、あの双子から『家族』を奪わないでください。

俺はただ幼なじみの手を握りながらそう願うことしか出来なかった。