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次まばたきした瞬間には──が隣にいない。
──はどこに行ったのだろう。
最近強がりな性格になった──はまたどこかで一人で泣いてるのではないだろうか。
早く、見つけてあげなくては。
「──ー！！」
何度も何度も名前を叫びながらどこまでも広い白い空間を見渡す。
どれくらいそうしていただろうか。
もうこのまま会えないのではないかという最悪の想像が浮かんで思わずしゃがみこむ。
「兄さん。」
しかし、やっぱり──は俺の傍にまた来てくれたようだ。
顔を上げ立ち上がる。
「──！！どこ行ってたんだよ。」
俺がそう言えば──は少し困ったように笑った。
「、、、ごめんね兄さん。迷惑かけて。」
──は目線を下に向けて申し訳なさそうにそう言うから慌てて言う。
「別に迷惑じゃない、俺はただ心配しているだけ。それに、迷惑どころかお前が俺の生きる意味なんだから。」
「だから、もう離れちゃ駄目だよ。」
そのすべすべとした手を握り──に言い聞かせるように言う。
──は意外と方向音痴だし、それにこの手を離したらもう二度と俺の傍に戻ってこないのではないかという不安が俺を襲うから。
この手を離さなければ、もう大丈夫。
俺は強い自信で握りしめるのだけど──の左腕は脱力していて俺の手を握り返すことはなかった。
それに、まだ悲しそうな顔をしている。
「──、？」
様子の可笑しい──の顔を覗き込む。
すると──はやっと僅かに口角を上げた。
「ごめんね、兄さん。」
そう顔に笑みを浮かべながら涙を流す。
全く意味がわからなかった。
なんで涙を流すのか。
なんで謝るのか。
それにもう季節は夏なのに、なんで長袖を着ているのか。
その理由に頭を巡らせようとするけども何故か考えることを脳内が拒絶している。
─────一体その笑顔の下で何を考えているの？
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作者名：ちゃん | 作成日時：2023年12月21日 18時
