終わらない夢 (ページ15)

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そこから兄は母屋から遠く離れた納屋にひとりで隔離されることとなった。

雪さんに兄ではなく自分が婚約者となったと伝えると、彼女は目に涙を沢山浮かべながら

｢そうですか、大貴さん不束者ですが、何卒よろしくお願いします｣

とだけ言った。

その後すぐ俺と雪さんは結婚した。

それから半月と数ヶ月程経った頃だろうか

俺は仕事と習い事に追われていた。

一般教養は身につけてきたつもりだったが次期当主となると覚えること、やることは倍以上ある。

兄はこれを弱音一つはかないで淡々とやっていたと思うとやはり尊敬しかない

兄が隔離されてからは二日に一度ほど納屋の戸越しに会話していたがそれもここ二ヶ月、あまりの忙しさに行けていない

部屋から見える納屋の明かりをぼーっと見つめていると不意に兄に会いたくなってしまった

じいやに見つからないよう母屋を出る

外では雪が降っていた。

兄さんは寒がりだから、凍えていないだろうか

納屋までの道のりを急ぐ

戸を叩くと咳の音が中から聞こえるだけで幾ら待てど、兄の声がしない