先生とぼく (ページ4)

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「さて、始業式の中で紹介がありましたが、
これからこのクラスを受け持つ相葉です！
みんな1年間よろしくね！」

全力の笑顔を向けると、女子生徒から歓迎の拍手。
男子生徒からは…なぜか睨まれている。

「さ、さっそく自己紹介でもしていこうかな！じゃあ、前から…」

この微妙な空気を誤魔化すように廊下側の1番前の席に座る女の子から自己紹介を頼んだ。

自己紹介が進んでいき、最後の1人…となったのだが、その席は空席だった。

「あれ…？やぶ、くんはお休みかな？」

“やぶ”というワードを出すと、
女子の黄色い悲鳴が聞こえた。

それと同時に男子の溜息。

え、え？なになに。
どういうこと？

「薮くんはお仕事じゃないですか？」

お仕事？
お仕事って…、高校生でしょ？
学生の本分は勉強でしょう。

いや、まてよ。

薮宏太？

どこかでこんな名前…。

もう少しで思い出しそうという時だった。
教室の後ろのドアが開いて、そこにはマスクを着けた男子生徒の姿が。

そして、また女子の黄色い悲鳴。

「あれ…、さっきトイレで会った…」

「あ…すみません保健室で休んでました。」

さっきは気づかなかったけど、
この声、目、他の子にはない独特なオーラ。

「や、薮宏太！？」

気づかなかった。
気づかなかったけど、間違いなくそこに居るのは、朝の電車で車両にでっかくラッピングされていたアイドルの薮宏太だった。