先生とぼく (ページ12)

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「…で、なんですか？」

ぼんやりと酒を飲んで、お通しの冷奴を食べていると、ネクタイを緩めてワイシャツの第二ボタンまで外して色気を放つニノが口を開いた。

「相談事があるんでしょ？」

「あ…、うん。あのさ、うちのクラスの薮のことで…」

「あー、あのアイドルやってる子ね。
そういや俺1回も会ったことないかも。」

「学校あんまり来れてなくて…ニノならどうする？」

俺がそう聞くと、ニノはジョッキをテーブルに置き、真剣な顔をしてこちらを真っ直ぐに見てきた。
じっと見つめられて逸らすことが出来ない。
どんなことが言われるんだろう…と唾を飲むと、ニノは溜息をつきまたビールを飲み始めた。

「え、ニノ？」

「そんなの知らないよ。だって俺の生徒じゃないし、俺薮に会ったことないし。」

緊張した俺が馬鹿だった…。
そうだ、ニノはこんな人だ。
がくんと項垂れるとそんな俺を気にしたのか、でも…と言葉を紡いだ。

「相葉さんならどうにか出来るんじゃない？」

「え…？」

「自分が思うように動いてみればいいじゃない。なにか案はもうあるんでしょ？俺に出来ることは協力するし。」

ほんと、ニノはこういう奴だ…。
冷めたように見えて熱くて、熱いように見えて冷めてて。

そうだな、俺の生徒だもん。
俺がどうにかするしかないよな。

ありがとうと言うと、声がデカいって注意された。笑いながら。