先生とぼく (ページ6)

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「じゃあ明日は教科書販売だからね！
皆ちゃんとお金持ってきてね！」

初日の今日は午前で終わり。
この後ご飯いこー！なんて楽しそうな生徒達を眺めながら、これからのことに胸を弾ませた。

憧れの教師になったんだ。
幸せで胸がいっぱいだ。

「ねえねえ薮くんっ！ご飯行かない？」

「あーごめん。このあと仕事なんだ。」

「えーっ、じゃあさ連絡先交換しようよ！」

「あ、いや…そういうのは…」

窓際の1番後ろ。
薮くんの席の周りにはたくさんの女の子が集まっていて、困った感じの薮くんの声がする。

「ほーら、困ってるだろ。」

女子達を止めに行くと、不満そうな顔をして邪魔しないでよと言われた。
邪魔しないでよじゃないだろう。
生徒が困ってたら助けるのが教師の役目だろう。

「ごめん、ほんと。事務所的にそういうのダメで。」

「なにそれ薮くん真面目～！
内緒にするから教えてよ～っ」

「いやでも、俺は変に週刊誌とか載りたくないから…」

「ほらほら、いい加減にしなさい。
ほら、もう帰った帰った！」

女子生徒を軽く叱って教室から追い出すと、
教室には薮くんしか残っていなかった。

これから仕事と言っていたのになかなか動き出さない。

口元を抑えて肩で息をしていて、
あ、やばいやつだ。と思った。

急いで駆け寄り背中をさすると、
やめてと言うように首を横に振る。

「気持ち悪い？掃除しとくから吐いてもいいよ。」