ヒモの彼氏とヒモノの私と、 (ページ7)

今日:12 hit、昨日:18 hit、合計:180,102 hit

・ページ7

最近忙しくて昼休みも仕事でさ、と愚痴った次の日は
片手で持ちやすいサンドイッチが詰められていたり

明日は午後から長い会議で憂鬱だと嘆いてみれば
小さなハンバーグをわざわざ入れてくれたり

そんな気遣いにありがとうと言っても
北斗は目を逸らしてそっけない返事をするだけ。

「北斗お弁当屋さん開いたら？」

「遠慮するわ」

「なんでー？絶対流行るよ」

「俺が弁当屋なんか始めたら、疲れてお前にハンバーグなんて二度と作れねえぞ」

「じゃあやだ」

「早えよ」

キッチンに立つ北斗にリビングから声をかける。
エプロン姿の北斗は、明日のお弁当の仕込みでもしてるのかな。

ごはんなんて、
前はお腹いっぱいにさえなればいいって思ってたけど
お昼なんてなおさら手早く済ませるだけのものだったけど

北斗がお弁当作ってくれるようになってからは
今日は何が入ってるのかなってわくわくする時間になったんだよ？

「北斗のお弁当会社の人によく褒められるよ」

「そりゃ光栄だ」

「美味しそうだねーって」

「お前それなんて答えてんの？」

「美味しいですよって」

「他人事みてえ」

「あと藤原さん料理できたんですねって言われる」

「作ってんの俺だけどな」

「まさか同棲してる彼氏が作ってくれてますなんて言えないじゃん」

「確かに」

「だから私が作ってることにしてる」

「おい」

軽口をたたきながらも満更でもなさそうな北斗。
これで明日はまた美味しいもの入れてくれるかな。