ヒモの彼氏とヒモノの私と、 (ページ36)

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対峙ページ36

息はもうとっくに上がり、
髪も振り乱して走っていた。
とにかく必死な一方で、美穂さんとの会話が頭を巡る。

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話があるんです、と河川敷に連れてこられたものの
どうすればいいかわからず戸惑う私。
美穂さんは意に介していないようで、ゆっくり話し始めた。

「私、北斗と付き合っていたんです」

「…知ってます」

「北斗があんな事件を起こして、高校生の私じゃとても受け入れられなくて…だからこんなことに…」

「はあ…」

まるで自分は悪くないみたいに話す口ぶりには、どうしても共感できない。

美穂さんは涙を拭うような仕草をして、鞄から封筒を取り出し、手渡してきた。

「私、北斗とやり直したいんです」

「…」

「…100万、入ってます」

「ひゃ、えぇ！？」

思わず受け取ったものの中身に驚き、上ずった声を出す私を無視して、美穂さんの話し続けた。

「足りなければもっと出します。だから、北斗と別れてくれませんか？」

美穂さんの目は真剣だった。
冗談を言っているようには見えない。

封筒をぎゅっと握り、小さく息を吐く。

「これは受け取れません」

「…足りませんか？」

無理やり封筒を握らせ、背中を向ける。
何も言わないことが答えだと、伝わってほしい。