ヒモの彼氏とヒモノの私と、 (ページ33)

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・Hokuto ページ33

初めは、また酔い潰れてんだろうなって呆れてた。

そっからあまりにも連絡ないから腹立ってきて、
終電が最寄り駅に着く時間を過ぎた頃から
だんだん心配になってきて
メッセージと電話の頻度が上がった。

樹に電話してもやっぱり出ないから
二人して何かトラブルに巻き込まれたのか、とか考えて
居ても立ってもいられなくなって
とりあえず外に飛び出したくらいの時間に
ようやく樹から電話が来た。

「お前、Aと何時に解散した？どこまで見送った？」

「…Aさんは今日は帰らねえよ」

まさか樹の口からそんな話聞かされるなんて。

「は…？」

「俺が引き止めた。帰んなって」

「…自分が何言ってっか、分かってるか？」

「泣いてたよ、Aさん。黙らせたけど」

「おい！お前Aに何して、」

「まあ痛い目には遭わせないから安心しろよ…お前のとこ戻るかどうかは保証しないけど」

「てめえふざけ…っ」

…樹の声の代わりに聞こえてくるのは、
通話終了を知らせる無機質な音。

行き場を失った怒りにとらわれて
意味も無く奥歯を強く噛み締めた。