ヒモの彼氏とヒモノの私と、 (ページ11)

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3本目の缶を空けたあたりで
どうにもこうにも一人で飲んでいるのが寂しくなってきた。

「ねえ北斗も飲もうよ～～」

「飲んでるだろ」

「それお茶じゃん、一人で飲むの寂しいよ～～～」

「隣に座ってんだからいいだろ別に」

「そうじゃないの～お酒飲もうよ～～～」

我ながらなかなか面倒な絡み酒。
鬱陶しそうにあしらう北斗は頑なにお茶だけを飲んでいる。

「俺はお前と違って酔ってもストレス発散できないの」

またその言い訳。
お酒だけが発散方法じゃないけど、
じゃあ北斗は何でストレス発散してるわけ？

「…たまにはいいじゃん、ね？」

北斗がお皿を下げにキッチンに立った一瞬の隙、
誰に言うでもなく小さく呟いた。

お茶が入ったコップを拝借して中身を飲み干し、
代わりに3本目の缶の中身をお裾分けして
何食わぬ顔で北斗が戻ってくるのを待つ。

「…っ、お前これ！」

「んー？」

「んー？じゃねえよ何中身入れ替えてんだよ！」

「たまにはさー、一緒に飲みたいじゃん。明日休みなんだし！」

「お前は本当に…」

さすがに諦めたのか、コップに注がれたビールはそのまま北斗の喉に流し込まれた。

「ふふ、お疲れ様でーす」

「…お疲れ」

会社の飲み会みたいに缶を差し出すと、
北斗のコップと当たって軽い音が鳴った。