ヒモの彼氏とヒモノの私

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あの打ち上げからもうすぐ一週間経つけど、
樹くんに言われた一言がずっと忘れられない。

北斗の何を知っているの？
前科者ってどういうこと？

聞きたいことが次々浮かんでもやもやする毎日。
居てもたってもいられなくなってきたちょうどその日、
定時過ぎに着信を告げたスマホには『樹くん』と表示された。



.



「…久しぶり」

「久しぶり、Aさん」



ぎこちなさを隠しきれない私を笑うような表情を見せる樹くんは、悔しいくらいいつも通りだった。
ついさっき『飲みに誘われたから今日の晩ごはんはいらない』と北斗に送ったスマホをぎゅっと握る。



「そんな緊張しないでよ、店予約しといたから」

「…うん、ありがとう」



こないだの会話なんてなかったみたいに気さくな樹くんは、
やっぱりお洒落なお店に連れて行ってくれた。
個室に通されて注文した飲み物と料理が届いて、
ほどよくお酒がまわってきたタイミングで話を切り出す。



「…樹くん、北斗のことどれくらい知ってるの？」



顔色を変えずにグラスを傾けた樹くんは、眉毛だけ少し動かして話し始めた。



「やっぱ気になるんだ、北斗の過去」

「気になるっていうか…北斗、昔のこと聞いても何も教えてくれないから」

「まあそりゃそうっしょ。初対面でいきなり俺前科者ですなんて言えねえわ」

「…そうじゃなくて、」

「やっぱ家に前科者住まわせてんのなんて不安？いつ何されても文句言えねえし」

「そういうわけじゃ、」

「北斗北斗って言うけどさ、俺だって前科者なんだよ？」

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