ヒモの彼氏とヒモノの私

23 ページ23

「…あ、藤原です。すみません、今日も一日お休みを…はい、お願いします」



北斗よりちょっと早く起きて、そっとベッドを抜け出して会社に電話。
本当は休まなきゃいけないほど具合悪くなんてないけど。
昨日の今日だしたまにはいいでしょ、ちょうど有給もたまってたし。



せっかくの休みになったんだからもう少し寝ようと思って寝室に戻ると、北斗が目を覚ましてしまったらしくベッドで身を起こしていた。



「あ、起こしちゃった？ごめんね」

「いや、」

「具合どう？顔色はよさそうだけど」

「大丈夫…」



歯切れの悪い北斗は、私がベッドに座るのに合わせてちょこんと正座した。



「ごめん、俺なんで一緒に寝ようなんて…」

「ああそのこと？急に何かと思えば」

「熱でおかしくなってたんだと思う、本当ごめんもう言わないから…」

「…あのさ、今日からここで一緒に寝ない？」

「はっ？」



驚いた表情の北斗。
うん、やっぱり昨日よりだいぶ顔色よく見える。



「意外と狭くなかったし、結構ぐっすり眠れたよ？今はまだいいけどこれから寒くなったらソファじゃ可哀想だしさ。また風邪引いたら困るでしょ」

「それは…いやでも…」

「じゃあ決まりね、ほら私今日も休みとったから二度寝しよ？」



布団に潜って隣をぽんぽんと叩くと、観念したように北斗もそこに潜り込んだ。
昨日とは違って背中を向けたまま聞こえてきた寝息は、やっぱり小さな子どもみたい。

24→←22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す