鉄のハンスの呪いをとけば【Ym*In】 (ページ37)

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再会の感動ページ37

連絡を入れると、仕事を抜けてすぐに帰ってきた雄也。
雄也も、概ね八乙女と同じ反応をして、落ち着いた頃、『大ちゃん』から話を聞き始めた。

「えーっと……いのちゃんが、3人のことを実はわりと気にしてたって話はもういいよな？
そう、んで、保護してあげてって頼まれて……でも山田だけ見つからなかった。調べたら、ちゃんとまっとうに生きてたからさ。ならいいや、って」

「大貴、なんも話してくれないから、最近まで僕たち、涼介がいきてるの知らなかったの」

「それはごめんって、だって、2人が山田涼介と会ってそれがバレたら、いのちゃんに被害がいきかねなかったからさ。

……それで、まあ、いのちゃんは総監サマの飼い猫になって、忠実に言いつけを守って、お前らの起こした強盗事件を調べてたわけなんだけど……大元がマーケットにたどり着いて、はじめて逆らったんだよね」

はじめて、逆らった。
それはやっぱり、自分も、辛い目にあったから。

「それで、証拠提出はしないから、って調べはじめて、山田涼介の存在を思い出して、侑李と裕翔に聞いてたんだ、いろいろ。そんで、八乙女さんのことも、髙木さんのことも」

ああ、そっか。それで、伊野尾さんは、真相に辿り着いたんだ。そして、俺たちを、守ってくれた。
最初から……あの薄暗い部屋に入れられたときから、俺は、伊野尾さんに、守られてた。

「……それで、伊野尾さんは今どこに」

「知らない。ただ、山田涼介に本当のことを教えてあげてね、って、それだけ言ってどっかいった。まあテキトーに生きてんじゃないの、いのちゃんだし」

「居場所教えるなって言われてんだろ」

「急に口悪くなりやがったな」

「……教えてくださいおねがいします」

ゆうりとゆうととの再会の感動もそこそこに。
そりゃでかいけど、まだ終わってない。
ここに、伊野尾さんもいなきゃ、手放しで喜べない。