鉄のハンスの呪いをとけば【Ym*In】 (ページ36)

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友達ページ36

ふたつのでっかい塊が、俺に突進してきた。

「りょうすけ、会いたかった、いきてた、」

俺を見上げる顔と、見下ろす顔。
少し変わっているし、大人にもなっている。
だけど、だけど。
見違える、はずが。

「ゆうと……ゆうり……？」

宅配は？とか、八乙女のこととか、出てこなくて。
オートで出てくる涙を止めることもせずに、思い切り2人を抱きしめた。

「ゆめっ……ゆめじゃ、ない……っ？」

「違うよ、俺たち、大ちゃんに拾われて生きてたんだ」

「大ちゃん……？」

顔を上げると、俺と同じくらいの背の人が、人差し指で鼻の下を擦っていた。

「有岡大貴。いのちゃんの友達。そう言えばわかる？それとも、いのちゃんは俺の話とか、してないかな。俺には、山田さんの話はめっちゃしてくれたけど。
いのちゃんが言ってた通りホントにイケメンだね！」

「拾われ、たって……」

「いのちゃんにお願いされてね。総監サマの飼い猫になってすぐに、3人の面倒を見てくれって」

「へ……？」

「あの鳥籠の中で、3人に勉強を教えてくれた人たちが何人もいただろ。そのうちの1人だよ、いのちゃんは。お前らはあの時のことなんて忌々しすぎて思い出したくないだろうし、思い出せないこともあるだろうけど、いのちゃんは、3人のことを目にかけてたんだよ。

……っあ！！！心配しないで！俺別に酷いことしたりとかしてない！！ホントに、ホテル街うろついてた2人保護して、養ってただけだから！！ほら俺、いのちゃんと同い年だし！！
いのちゃんとつるんでるってことは、そこまでいい家庭環境じゃなかったってのも想像できるだろうけど……独り立ちして、稼いでたし。中卒だけど」

と、そこに、八乙女が顔を出して。
2人を見て、目を見開いて。
ちゃんと存在を確認した後、見たこともないくらいブッサイクな顔でわんわん泣き出した。

「とりあえず、中いれてくんねえ？宅配って嘘ついたことは謝るからさ」