鉄のハンスの呪いをとけば【Ym*In】 (ページ22)

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マーケット開催日ページ22

マーケット開催日が近くなると、金持ちたちの出入りが増えた。それをあてに参加者を割り出して、マークをつけて。

オーダーメイドのスーツを着て、それらしく髪を整えると、俺も雄也も顔はそこそこだし、性格を化けさせるのもうまいから、上流階級の人間に見えるようになる。
3人連れ立って、開催される、一般人じゃ一生泊まることのないような高級ホテルに行くと、八乙女が、赤い封筒を胸ポケットから出した。

「これで」

「了解しました。案内します」

後ろで髪をひとつに束ねた女が、こちらへ、と前を歩いていく。宿泊部屋からどんどん離れていくソイツについていく。
階段を降りて、扉をいくつも開けて、エレベーターに乗って。
入り組んでいるだけで、実際は地下いくつかの階であろうところの大きな扉を開けると、嫌な熱気が肌に当たった。

「終了致しましたら、そのままご宿泊も可能です。それでは」

帰っていった女を尻目に、中へ入る。
ジジイばっかのこの会場に俺たちは少し浮くが、八乙女の持ち前のコミュ力の高さとか、俺と雄也の猫かぶりとかで、だいぶ馴染めるようになった。

「やあ、」

「あ、海堂さん、こんばんは」

「こんばんは。今日もまた友人と一緒かい？」

「はい、海堂さんは？」

「付きのものだけだよ。
今日はとっておきが競りに出るらしい、見ものだよ」

じゃあ、と俺たちにシャンパンを渡してからどこかへ行ったジジイ。
まったく、本当に、反吐が出る。