鉄のハンスの呪いをとけば【Ym*In】 (ページ14)

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ブルーダイヤモンドページ14

＊

「次のターゲットかな、」

「わあ、またこんなことしてんの、っていうかこれだけ潰し回ってもマーケットってなくならないもんなんだ」

「まあ……金持ちだって腐るほどいるからな。俺たちがギリギリ立て直せないくらい財産減らしても他のヤツらが出てくるよ。それに、俺たちの目当てはコイツらじゃないし、」

「……なあ、」

「……うん」

「涼介、お前魂抜けてるぞ」

「抜けてねえわ！ちょっと考え事してたんだよ！」

ターゲット誰だよ、と机の上に広げられた書類に目を通す。

「……おかもとけいと？なにコイツ、なまっやさしい顔してんな」

「だよね、しかも今まで狙ってきたヤツらよりも若い」

「……でもまあ、マーケットに顔出してんのは事実だし、いっか……で？盗むものは？」

これ、と雄也に差し出される写真。首輪に加工された、6カラットほどありそうなブルーダイヤモンド。

「ブルーダイヤモンド！？しかも、デカ……」

「飼い猫の首輪につけてるらしいな」

「飼い猫ぉ！？こいつの金銭感覚どうなってんだよ、こんだけあったら時価10億くだらない……」

「しかもね、ただの飼い猫じゃない」

含みを持たせる雄也の言い方。それでいて、言いにくそうで、苦しそうで。

「ああ……ヒトか。しかも、男」

「そう。それが、今回ターゲットに選んだ理由かな」

「その『飼い猫』は誰かわかってんの？」

「それがね、びっくりするほど情報が出てこない。使用人にも姿を見せていないみたいで……

……八乙女、何してんの？」

雄也が説明していたら、八乙女が、自室のいろんな機具がついた重々しいパソコンをいじりだした。

「や……監視カメラ、絶対つけてっだろ？ハッキングできねえかなって思ったんだけど……ダメだな、厳重すぎてすぐにはできない」

「へえ……野心なさそうなツラしてやり手って事か、面白いじゃん」

時価10億はくだらないブルーダイヤモンド。正直、宝石はどうでもいい。
『飼い猫』に……言いなりになっている男に、どんな気分で言いなりになっているのかを聞いてみたかった。