(6)西畑side ページ25
「(名前)は…
「女の子」やろ？」
…言ってしまった。
絶対に言わないつもりだった。
言ったら(名前)がいなくなってしまう。
そんな気がして。
すると、(名前)に逃げられてしまって。
追いかけることもできない。
公園で一人、ぶらんこに乗ってぼーっとしていると、
「あれ、大ちゃん？」
やってきたのはショップバッグを2、3個持った流星やった。
「おおにっさんやんかぁー
なにしとんの？こんなところで」
速攻笑顔をつくり、いつも通りに話しかける。
「買い物の帰り。
てかそっちこそなにしとんの？こんなところで」
「えー、ぶらんこ？」
「…キモいわ」
いきなり吐かれた毒。
しかも真顔。
「傷つくわぁ、高3がぶらんこ乗ってただけでー」
「ちゃう」
流星は首を振り、言う。
「つくり笑い、キモいで」
「…、え」
図星を突かれ、一瞬ひるむ。
そんなにわかるもんなんか。
「…しっかりしてんなー、さすが流星さん」
「ありがとう。んで、どーしたんですか」
「いやぁ、言ったらあかんこと言ってしもーてな…
俺がいらんこと言わんかったら…」
「…」
流星はちょっと考えてから、
「…そんなんね、関係ないんですよ！」
「…は？」
なぜか自分の名ゼリフをつっこんできた。
でも流星はそれから黙ってしもーた。
いきなりどーしたのか分からず、流星を見守る。
すると、
「…このあとの繋ぎ方わからんくなってもーた」
と、なんともかわいらしい返答。
「…ふっ」
俺は思わず笑ってしまう。
流星はそんな俺を見てホッとしたように笑顔になった。
「ほんまにかわいいなぁ、流星ぇ」
思わず抱きつくと、
「もうえーから、わかったから！謝ってきーよ」
流星は俺の腕からもぞもぞと抜け出そうとする。
それをぎゅっとよけい抱きしめた。
「せやな、謝らんと。
とりあえずそっからやな」
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作者名：みー | 作成日時：2015年3月4日 0時
