(4) ページ24
「え、てか関西弁ちゃう」
大吾が急に、今度は驚いたような顔で聞いてきた。
表情の移り変わり激しいなーと思いながらも、
『ん、ほんとは標準語だもん。名前も違うよ』
と、答える。
「ほんまはなんていうん?」
『福原A。そんでもって、実はみんなのファンだったの』
「まじで?!」
『うん。だから最初は舞い上がってたの(笑)
でも今はファンとしてだけじゃなく、みんなのこと好きだよ』
すると、大吾はうーんと考えるような仕草をした。
そして、ポンと漫画のように手を叩くと、
「そーか、(名前)…やなくてAは廉さん担やったのか…くっそう」
と、言った。
『え、なんでわかんの?』
「えー、最初のほう廉と話すときだけちょっとぎこちなかったしー、かっこいいと思ったのも廉やしー」
…なんかちょっと拗ねてる?(笑)
『でも、大吾だから私の秘密言えるよ?』
そう言うと大吾は、私のほうを見て一瞬固まった。
「ほんまずるいわー」
『なにがやねん』
「うわ、(名前)!」
『あはは!』
なぜか身構える大吾の反応がおもしろく、これから2人のときはたまにやろうと思った。
ひとしきり私について話し終わったところで、
「ほな、そろそろ帰りますかぁ。もう遅いし…」
と、大吾が言った。
腕時計を見てみると、もう8時。
「ほな…」
『待って!』
帰ろうとする大吾の腕を掴み、
『今日はほんとごめん。
あと「男」って嘘ついててごめん。まあそれはみんなもだけど。
それから…
ありがとう』
と、正直な思いを告げる。
大吾はそんな私を見て、なぜかニヤッとしすると、
『…わっ』
大吾を掴んでいた私の腕を引っ張った。
そして近づいてきたと思ったら、
ちゅ
『え』
おでこに、何か感覚があった。
あまり私と身長差のない大吾は、私と同じくらいの位置で目を合わせると、
「俺は「男」やから」
と真面目な顔して言うと、今度はいつもの可愛らしい笑顔で、
「じゃーにぃー♡」
と、去っていった。
…え、まって、なに。
今の…
『ちゅう?!』
しかも、「男やから」と言った大吾はほんとに男の顔をしていて。
今日1番でどきどきしてる。
いや、もはやどくんどくんいってる。
顔も熱い。てかおでこが熱い。
『なんなの…』
…楽しくて、悲しくて、すっきりして、どきどきして。
そんなわけのわからない、秋のある1日だった。
184人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みー | 作成日時:2015年3月4日 0時