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「え、てか関西弁ちゃう」


大吾が急に、今度は驚いたような顔で聞いてきた。


表情の移り変わり激しいなーと思いながらも、



『ん、ほんとは標準語だもん。名前も違うよ』


と、答える。



「ほんまはなんていうん?」


『福原A。そんでもって、実はみんなのファンだったの』


「まじで?!」


『うん。だから最初は舞い上がってたの(笑)

でも今はファンとしてだけじゃなく、みんなのこと好きだよ』



すると、大吾はうーんと考えるような仕草をした。

そして、ポンと漫画のように手を叩くと、



「そーか、(名前)…やなくてAは廉さん担やったのか…くっそう」


と、言った。



『え、なんでわかんの?』


「えー、最初のほう廉と話すときだけちょっとぎこちなかったしー、かっこいいと思ったのも廉やしー」



…なんかちょっと拗ねてる?(笑)



『でも、大吾だから私の秘密言えるよ?』



そう言うと大吾は、私のほうを見て一瞬固まった。


「ほんまずるいわー」


『なにがやねん』


「うわ、(名前)!」


『あはは!』



なぜか身構える大吾の反応がおもしろく、これから2人のときはたまにやろうと思った。







ひとしきり私について話し終わったところで、

「ほな、そろそろ帰りますかぁ。もう遅いし…」

と、大吾が言った。


腕時計を見てみると、もう8時。


「ほな…」

『待って!』

帰ろうとする大吾の腕を掴み、


『今日はほんとごめん。

あと「男」って嘘ついててごめん。まあそれはみんなもだけど。

それから…
ありがとう』


と、正直な思いを告げる。

大吾はそんな私を見て、なぜかニヤッとしすると、


『…わっ』


大吾を掴んでいた私の腕を引っ張った。


そして近づいてきたと思ったら、


ちゅ


『え』



おでこに、何か感覚があった。


あまり私と身長差のない大吾は、私と同じくらいの位置で目を合わせると、


「俺は「男」やから」


と真面目な顔して言うと、今度はいつもの可愛らしい笑顔で、

「じゃーにぃー♡」


と、去っていった。



…え、まって、なに。

今の…


『ちゅう?!』


しかも、「男やから」と言った大吾はほんとに男の顔をしていて。


今日1番でどきどきしてる。

いや、もはやどくんどくんいってる。

顔も熱い。てかおでこが熱い。



『なんなの…』



…楽しくて、悲しくて、すっきりして、どきどきして。


そんなわけのわからない、秋のある1日だった。

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作者名:みー | 作成日時:2015年3月4日 0時

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