6話 ページ7
まず、私は甘利さんに
｢いい知らせと悪い知らせ、どちらからにします？｣
と聞いた。実は…なんて話しはじめたのに次に出た言葉がこれだったので、甘利さんは驚いたような表情をしている。
｢A、相談があるんじゃなかったのかい？ ｣
と甘利さんは苦笑しながら聞いてきた。
｢その前に、聞いていただかなきゃいけない話があるんです。どっちからにします？｣
と食い気味に聞いた。
｢じゃあ、いい知らせからがいいな｣
そっちからだと思うとホッとした。まあ一応、そちらに食いつくように誘導はしたのだが、もしかしたらそれがわかっていて選んでくれたのかもしれない。
｢まだみなさんに伝えられてないんですけど、私今、妊娠３ヶ月なんです。｣
｢……。｣
間があいた。
｢あの……甘利さん？ ｣
心配になって顔を覗き込むと、甘利さんはガバっと私の肩を掴んだ。
｢本当か！？そうなのか！？｣
｢はい。……そもそも、嘘をつく理由がありません。｣
｢それもそうか……。おめでとう！｣
甘利さんはとても嬉しそうな顔をしてくれていて、こちらまで嬉しくなってくるほどだった。
｢ありがとうございます。だから、任務の方をしばらく休む、と皆に伝えなきゃいけなくて……｣
｢任せておけ。Aの分までしっかりやるから。｣
｢はい。｣
私は笑顔で返事をした。
｢それで、こんなことを聞いていいのかは分からんが、お腹の子の父親は誰なんだ？｣
ハッとして、私は写真立てを掴んだ。そうだ、聞かれるに決まっている。
私は覚悟を決めてここに来たはずだ。大丈夫。そして、重たい口を開く。
｢……三好さんです。｣
と言うと、甘利さんは驚いたような表情をまた浮かべていた。しかし、それもすぐにもどって
｢そうか。あいつもそろそろ任務から帰ってくる頃だよな。頑張れよ。｣
と笑顔で言ってくれたが、私にはその言葉と笑顔がとても心に刺さった。
これも言わなくては。これを言うことの方が大切なのだ。
｢今日いちばん話さなきゃいけないのは、そのことなんです。｣
と言って、私は深く息を吸って、そして吐いた。
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葉乃(プロフ) - 野崎さん» 質問いただきありがとうございました！この作品を振り返るいい機会とさせていただくことができました。次作、ネタが思いついたら書かせていただきたいと思いますのでその時は宜しくお願い致します。 (2016年10月28日 19時) (
レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
野崎 - 葉乃さん» そうでしたか…それでこそD機関って感じで痺れます。ありがとうございました！次作もあれば楽しみにしてます！！ (2016年10月28日 2時) (レス) id: a382114b2a (このIDを非表示/違反報告)
葉乃(プロフ) - 野崎さん» 続きです）スパイとして活動をする上で、手持ちの駒は少しでも多い方がいい。というスパイの冷酷さと、スパイとはそういうものとは知りながらも信じてしまった夢主さまの人間らしい、そんな様子を描いた場面になります。 (2016年10月27日 20時) (レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
葉乃(プロフ) - 野崎さん» 冷たい言い方をした理由、ということでよろしいでしょうか？単純に、自分に好意を寄せている人ほど利用しやすい、という理由です。甘利は優しい一面があるが故に内に冷たい感情を秘めているのでは、という私の想像を全面的に出したシーンです。 (2016年10月27日 20時) (レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
野崎 - 連載お疲れ様です！質問なんですが…20話の甘利がああいう言い方をしたのには他に理由があるんですか？ (2016年10月27日 10時) (レス) id: a382114b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉乃 | 作成日時：2016年6月18日 13時
