22話 手記 ページ24
これを読んでいるのは、私の息子、克彦でしょう。もしそうでないのなら、どうか、これを克彦に渡してくださいーーーー。
この文から、母からの手紙は始まっていた。
ーーーー貴方には、まだ父さんの事を話していませんでしたね。何故日本人なのにドイツに住んでいるのかも。名前の由来も。何一つ話さずに今まできてしまいました。
話す機会がなかった、というのも一つの理由ではありますけど、なにより私自身が話す気にならなかったというのはあります。
先に記しておきます。
もう今だから言えることです。
私と貴方の父さんは、日本軍のスパイでした。
そして、父さんが亡くなったのは、その任務中。ドイツで列車事故に巻き込まれたのが原因です。
貴方の名前である「克彦」は、そのとき父さんが使っていた偽名なのですよ。
貴方の顔をみたとき、その名前がぴったりだと私は思ってしまったので、克彦と貴方を名付けたのです。
実はね、私も、彼の偽名しか知らないのです。
だから機関内で名乗っていた「三好」の姓を名乗ることにしました。
ですから、私のこの名前も、本名ではないのです。本名は、、、もう昔のことなので覚えていませんし、貴方が知る必要もないでしょう。
貴方が生まれたのは、日本です。
それは知っていますね。第二次世界大戦中のことです。
私は彼が亡くなった地で貴方を育てようと思い、ドイツに渡りました。
貴方は、父さんに本当によく似ていますよ。
常に自信家でなんでもできて、かっこよくて。少し身長が小さくて。こんなことを言ったら怒られてしまいそうですけどねーーー。
母が語り出したのは、父のことでした。
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葉乃(プロフ) - 野崎さん» 質問いただきありがとうございました!この作品を振り返るいい機会とさせていただくことができました。次作、ネタが思いついたら書かせていただきたいと思いますのでその時は宜しくお願い致します。 (2016年10月28日 19時) (レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
野崎 - 葉乃さん» そうでしたか…それでこそD機関って感じで痺れます。ありがとうございました!次作もあれば楽しみにしてます!! (2016年10月28日 2時) (レス) id: a382114b2a (このIDを非表示/違反報告)
葉乃(プロフ) - 野崎さん» 続きです)スパイとして活動をする上で、手持ちの駒は少しでも多い方がいい。というスパイの冷酷さと、スパイとはそういうものとは知りながらも信じてしまった夢主さまの人間らしい、そんな様子を描いた場面になります。 (2016年10月27日 20時) (レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
葉乃(プロフ) - 野崎さん» 冷たい言い方をした理由、ということでよろしいでしょうか?単純に、自分に好意を寄せている人ほど利用しやすい、という理由です。甘利は優しい一面があるが故に内に冷たい感情を秘めているのでは、という私の想像を全面的に出したシーンです。 (2016年10月27日 20時) (レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
野崎 - 連載お疲れ様です!質問なんですが…20話の甘利がああいう言い方をしたのには他に理由があるんですか? (2016年10月27日 10時) (レス) id: a382114b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉乃 | 作成日時:2016年6月18日 13時