20話 ページ22
さっきとは違い、しっかりとした足取りで向かったのは、三好さんの、、、いや、三好さんの部屋“だった”部屋。
私は静かにベッドに腰掛けた。スプリングが軋む音が響く。
部屋の主を失った部屋は、どこか寂しさを感じさせる。私はぼんやりと目の前の壁を見つめた。
そうか、、、
とさっきの出来事を頭の中で整理していると、遠くから足音が聞こえた。
これは、、、甘利さんと、神永のもの。
なにか話している。
「知ってたんでしょう?性格悪いなぁ」
と神永が甘利さんに向かって言った。
「ん?何がぁ?」
白々しい口調で甘利さんが答える。
「三好が死んだってこと」
「ああ。Aから聞いたんだ」
「へぇ。じゃあなんで俺たちの前でAが言った時にフォローしてあげなかったんだよ」
「なんで?する必要ある?」
「こりゃまたひどいことを」
そういって神永は薄く笑った。
「だって。俺と三好は別に友達なわけじゃない。でも、わざわざAの前で興味無いふりをする必要があるわけじゃない。だったら、慰めるふりをしておく方が後々便利そうだろ?」
甘利さんがニヤリと笑う。
身体の芯がすっと冷たくなった。
「あはは。さすがスパイ」
私は、笑いながら三好さんの部屋の前を通り過ぎていく2人の声を黙って聞いていた。
ーーーーそうだったのか、と思った。
スパイには、仲間も何もありはしない。完全なる縦社会。横の関係など、ありはしないのだ。
もう。頼れるものはなくなった。
私にあるのは、たたき込まれたスパイ技術と、守るべきもの。お腹の子供だけ。
それ以外には、なにも、、、ないのだーー。
ーーーーーーーー
甘利さんファンの方々、申し訳ありません。
今回はちょっと性格が悪そうに見える甘利さんを書かせていただきました。
しかし、彼はスパイ。これは本心ではないのかもしれませんーー。
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葉乃(プロフ) - 野崎さん» 質問いただきありがとうございました!この作品を振り返るいい機会とさせていただくことができました。次作、ネタが思いついたら書かせていただきたいと思いますのでその時は宜しくお願い致します。 (2016年10月28日 19時) (レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
野崎 - 葉乃さん» そうでしたか…それでこそD機関って感じで痺れます。ありがとうございました!次作もあれば楽しみにしてます!! (2016年10月28日 2時) (レス) id: a382114b2a (このIDを非表示/違反報告)
葉乃(プロフ) - 野崎さん» 続きです)スパイとして活動をする上で、手持ちの駒は少しでも多い方がいい。というスパイの冷酷さと、スパイとはそういうものとは知りながらも信じてしまった夢主さまの人間らしい、そんな様子を描いた場面になります。 (2016年10月27日 20時) (レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
葉乃(プロフ) - 野崎さん» 冷たい言い方をした理由、ということでよろしいでしょうか?単純に、自分に好意を寄せている人ほど利用しやすい、という理由です。甘利は優しい一面があるが故に内に冷たい感情を秘めているのでは、という私の想像を全面的に出したシーンです。 (2016年10月27日 20時) (レス) id: fbe039a0ee (このIDを非表示/違反報告)
野崎 - 連載お疲れ様です!質問なんですが…20話の甘利がああいう言い方をしたのには他に理由があるんですか? (2016年10月27日 10時) (レス) id: a382114b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉乃 | 作成日時:2016年6月18日 13時