こんな結婚望んでません！2

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『菖蒲さんと！マックイーンさんです！！！まさか他にも女性が居るんですか？』




・・・・・・・・。
菖蒲は以前やった舞台の恋人役の名前。
マックイーンは言わずもがな、推しの名前。
Aちゃんは何を勘違いしてるんだ？


「ブハッ」とつい吹き出した俺にAちゃんがめくじらを立てる。




『人が真剣に怒っているのに！なんで、笑うんですか！私にはそんな価値もありませんか！！』



目が溶けちゃうのでは、と心配になるほどボロボロと泣いているAちゃんを抱きしめる。
すっぽりと腕の中に収まった彼女はグズグズと鼻を啜りながら「絆されませんよ」と言う。
立場が逆転している事に更に可笑しくて笑ってしまう。
彼女が嫉妬してくれた事も嬉しい。



ニヤニヤしている俺を怪訝そうに睨むAちゃん。
ごめん、ごめんと、頭を撫でながら話す。





「まず、連絡しなくてごめんね。心配かけたよね。」


『ｸﾞｽﾞｯ・・・はい。』


「本当に仕事が立て込んじゃって。あと、ちょっと気まずいのもあって。」


『・・・・・・』




Aちゃんはちょっと信じてなさそうな顔をしている。




「あとね、菖蒲ってのは俺がこの前やった舞台の恋人役の名前。マックイーンは俺の推しの名前。」






舞台のチラシとウマ娘のガチャ結果のスクショを見せる。
きょとんとした顔で俺のスマホ画面を見つめる、Aちゃん。
目がまんまるになって小動物みたいで可愛い。




『佐久間さんの恋人ではなく…？』



「おれ、恋人なんて居ないよ？」



『本当にお仕事が忙しくて？』



「うん、3日も連絡出来なくてごめん。」






そっか・・・・とホッとした声色を出すAちゃんに胸がぎゅーーーっとする。

抱きしめるとすっぽり収まる体も、俺の架空の彼女に嫉妬してしまう姿も、上目遣いで見てくる丸い目も。
全部が可愛い。


なんで、こんな時に自覚するんだろ。






おれ、Aちゃんのこと好きだ。








ぎゅーーーっと、抱きしめると「ぐぇっ」と色気のない声がした。それすら可愛い。

おれ、重症だなぁ…と考えていると、Aちゃんが話し出した。






『いきなり怒ってすみませんでした。でも、もう一個怒っています。』



「なぁに？」



とびっきり甘い声で尋ねると、それだけで顔を真っ赤にする。
ふふふ、かぁわいい〜。




『ご、ご飯は食べるって約束しましたよね。』

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