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「この度はおめでとうございます。」
ホテルのロビーで父が名前を告げたら、祝辞を告げられた。
ピッチリとスーツを着こなしたホテルマンは満面の笑みである。
豪華なホテル。
高そうなスーツを着た年配男性。
総振袖を着た20代前後の女性。
予約の内容は「顔合わせ」。
誰だって、祝辞を述べたくなる。
きっと傍目からは幸せな門出だろう。
ホテルマンにはぎこちなくならないように、ニッコリと笑って「ありがとうございます」と返した。
隣の父の笑顔は引き攣って居たが。
周りに人が居なくなると、父がポツリ
「ごめんなぁ…うちが貧乏なせいで…」
『しょうがないでしょ、頑張ってるみんなの為なんだから』
「でも、こんな身売りみたいな…やっぱり…」
『ちょっと！私達がいくら働いたって稼げない額を融資してくれちゃったんだから、今更逃げられないでしょ』
「うん…でも…」
『それに、うちの事業だって、吸収合併じゃなくて支援してくれるって言ってるんだから。うちの従業員の為にも、弟の為にも私が頑張らなきゃ！』
意外と今より豪勢な暮らしが出来て幸せかもよ？うち、名ばかり大きくて貧乏だしぃー。と笑ってみせる。
父だけではなく、自分の鼓舞する為に明るく振る舞うしかないんだ。
我が家はいわゆる、没落名家だ。
少しづつ業績が下がっていた事業は祖父の代で完璧に傾き、今では倒産寸前。
父も人は良いが、経営の才能はなく。
しかし、倒産すれば従業員を何人露頭に迷わせてしまうのか…医者を目指している高校3年生の弟の進路はどうなるのか…と頭を悩ませて居た。
全てを諦める直前、声を掛けてくれたのは佐久間財閥だ。
曽祖父の代に受けた恩を返したいと申し出て下さったのだ。
我ら幸村家からすれば、地獄に垂れてきた蜘蛛の糸。
縋る以外に選択肢は無かった。
しかも、嬉しいことに交換条件はたったの二つ。
＜一人娘を佐久間家の長男と結婚させる＞
そして
＜結婚生活一切を他言しない＞
言われた瞬間、これが「良い話」では無い事は悟った。
わざわざ名家がお金を出してまで結婚相手を探す長男だ。
暴力、浮気、ギャンブル…どんなヤバいやつが出てくるんだろうか。
悟って、嘆いて、そして、諦めた。
私が我慢すれば、皆んな幸せになれる。
大きく息をついて、予約した部屋へ入る。
幸せになれなくても良い、どうか死にませんように。
(でも、恋くらいしてみたかったなぁ…)
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ゆい - SnowMan全然知らないで読んだんですけどめちゃ萌えました… (11月25日 14時) (
レス) @page28 id: 8d474f6144 (このIDを非表示/違反報告)
hann(プロフ) - りーぼーさん» お読み頂いてありがとうございます。ご心配おかけでしてごめんなさい💦わーーーー！ごめんなさい、dm解放してなかった…させて頂きました😆✨ (2021年11月4日 22時) (レス) id: c4f3d3f59e (このIDを非表示/違反報告)
りーぼー - hannさん、はじめまして！占ツク読ませて頂きました！大好きな推しのお話だったんですが最初は佐久間くんが意地悪だったのでどうなるか心配でした😭あ、実はTwitterのメッセージ送ったの私なんですがdm送る場所がなくてこちらに返信しました！ (2021年11月4日 22時) (レス) id: 0035580915 (このIDを非表示/違反報告)
hann(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます！泣けたって言われるのめっちゃ、嬉しいです！自分の小説は泣けるか分からなくて…ほんと、たくさん褒めて頂いてありがとうございます…！励みになります… (2021年10月22日 22時) (レス) id: c4f3d3f59e (このIDを非表示/違反報告)
hann(プロフ) - はなみさん» コメントありがとうございます！佐久間さん、リアルでも納戸知らなそうだな…？と思いついたネタです笑 佐久間さん、どんどん絆されていきますよ〜！ (2021年10月22日 22時) (レス) @page44 id: c4f3d3f59e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hann
| 作成日時：2021年10月12日 10時
