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しばらくすると、軍医のぺ神さんが様子を見に来てくれた。皆は普段通りに接しているが、俺はそうすることができない。体調は大丈夫かという質問に対して大丈夫だと答えると、その言葉が紙に書かれていく。顔は紙に隠れて見えないけれど、俺が前に見たときよりも痩せているように感じた。
ぺ神さんにとっても、今回のことは衝撃だったのだろう。幹部のほとんどが死亡し、反逆者が無事に生きて、生き残っていた幹部は死刑を希望。俺だったら耐えきれない。
「せや、今日の午後はきりやん君とシャークんとできんとき君の様子を見に行ってくるわ。だから、俺が留守の間に悪いことせえへん様にな！」
殺したい。大切な仲間たちを一瞬にして奪ったこいつらを殺してやりたい。俺だったら、そう思う。怪我の治療何てせずに、そのまま出欠多量で死んでもらおうとか考える。明るい声の裏腹に、こんな邪念が混じっているかもしれないなんて。
他のやつらには絶対に言えない。
換気だと言って開けられた窓からは、涼しい風が入り込んでくる。鳥の鳴き声を運んできてくれた様に、彼らの魂も運んできてはくれないかと現実味のないことを願った。
午後になると、体調不良だったシャークんも復活した様で、俺を見るなり彼は驚いて歓喜の声を上げていた。これはぺ神さんが特別にと俺だけに教えてくれたことなのだが、あいつは夜中にここを抜け出して半壊した基地内を歩き回っていたらしい。
あんまり危ないことはしてほしくない。
「気を付けて行ってこいよ！あと、きんときに...」
そこで言葉が詰まる。
「待ってるからって伝えておいて！」
「おう」
二人は俺とスマイルに手を振って、ぺ神さんの後を追いかけていった。スマイルと俺だけの空間にある。向こうは今日も眠たそうにしているので話しかけるのは止そうかと思っていると、スマイルが口を開いた。
「なかむはシャークんの無傷をどう思う?」
間を置いて俺は答える。
「単純に回復力が格段に上げられてるんじゃないかな。俺にない力っていったら、それしか思い浮かばなくてさ...」
「やっぱそうだよなー...。でも、なんか違う気がするんだよ」
「その副作用で体調が頻繁に崩れるってなったら、納得じゃね?」
「確かに」
スマイルの不服そうな顔が頭に思い浮かんで、吹き出しそうになった。何とか笑いを堪えている俺を置いてスマイルが次々と考察を落としているいが、何て言っているのか全然聞いていなかった。
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葡萄。 - みるひかさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると自信に繋がるので嬉しいです。これからも楽しんでいただけるよう、頑張ります!! (2021年4月5日 16時) (
レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
みるひか(プロフ) - 完結おめでとうございます！ストーリーの展開が面白く、情景の表現も綺麗で読みやすかったです。番外編・外伝の更新も是非頑張ってください！ (2021年4月4日 23時) (レス) id: e1eab5f988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄。 | 作成日時：2021年3月17日 19時
