Out side ページ26
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一度起きたら、人間は夢の内容をすっかり忘れてしまう。それなのに再び寝ると、起きる前に見ていた夢の続きを見れることがある。昨日見ていた夢の続きを今日も見た。こんなものが一年も続けば、誰しもがその夢に興味を持つことだろう。
夢の始まりから終わりまでを書き記した手帳。空白のページはまだ残っている。大学の講義を終え、友人たちからの食事の誘いも断り、彼は自身のバイト先へと向かおうとしていた。彼は赤信号の横断歩道の前で手帳をじっと見つめている。
信号が青に切り替わった際に流れる音がピッピッと鳴った。彼は即座に手帳を鞄の中へ沈ませ人の流れに逆らうことなく歩き始めた。なんとなく上を見上げてみると、そこには"群青"の空が広がっていた。
ブーッブーッ。
彼が横断歩道の真ん中を通りすぎようとした時、携帯が鞄の中で鳴った。電話がかかってくるとは珍しい。彼は立ち止まり、携帯を手に取った。携帯の画面には「なかむ」と相手の名前が表示されている。
「どうした?なかむ」
彼が再び歩き出したその瞬間。周りの人たちの悲鳴が上がり始めた。目の前の人達は一斉に走りだす。それは彼の後ろも同様で、後続は彼を押し倒して走っていく。何が起きているのか理解できず、彼はその場から動けない。誰かの「逃げろ」という大声に反応して立ち上がろうとしたとき、彼に向かって大型のトラックが突進してきた。
立ち上がった時にはもう遅い。彼は群青色をしたトラックにはねられ、そして轢かれた。どこまで飛ばされたのかはわからない。意識が朦朧とする中、自分の体が電柱のところまで移動していたのは認識できた。近くにあった携帯の画面にはヒビが入り、友人の声が微かに聞こえた。
「＿お、...＿＿?＿＿＿ッ！」
「誰か救急車を呼んで！」
全身に激痛が走る。もう無理だと諦めて、彼は静かに目を閉じた。
彼が次に目を覚ましたのはそれから何時間後のことだろう。辺りをきょろきょろと見回してみると、今自分がいる場所はあの横断歩道の場所ではないことが分かる。彼は自分の手に何かが握られていることに気がついた。
その何かは誰かの血液がベッタリと付着したナイフ。呆然としていると、自分の名を呼ぶ誰かの声が後ろから聞こえた。恐る恐る振り返ると、そこには痛々しい姿をした親友が。
「ここは...どこだ」
あの美しい空はどこにいったのだろう。鮮やかな群青はどこにもない。彼の目の前に立ち尽くしていた親友は、涙を流していた。
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葡萄。 - みるひかさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると自信に繋がるので嬉しいです。これからも楽しんでいただけるよう、頑張ります!! (2021年4月5日 16時) (
レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
みるひか(プロフ) - 完結おめでとうございます！ストーリーの展開が面白く、情景の表現も綺麗で読みやすかったです。番外編・外伝の更新も是非頑張ってください！ (2021年4月4日 23時) (レス) id: e1eab5f988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄。 | 作成日時：2021年3月17日 19時
