・ ページ25
・
その言葉を聞いた五人の間にはしばらく沈黙が続いた。何も言わずに旅立つのも悪いと思っていたぶるーくだが、やはり言わない方が良かったかもしれないと発言を撤回しようとした。しかし、ぶるーくが発した声は、周りよりも一段と低いシャークんの声に消される。
「ぶるっくがやりたいことをすればいいじゃん」
「...シャークん」
「その代わりに、生存報告はこまめにしてくれよな」にっと白い歯を見せてシャークんは笑った。どこにいても、どんなときでも俺たちは味方だから。最愛の仲間たちからの激励の言葉は、ぶるーくを奮い立たせるのに十分なものであった。
「俺たちにもバンバン情報寄越せよ?」
「わかってるよ！」
仲間との別れは、どんな形であってもやはり寂しいものだ。ぶるーくの抱える大きな荷物。それを持って彼はどこまでも歩いていくのだろう。
「それじゃあ、また"明日"な！ぶるっく！」
歩き出したぶるーくの背中に五人は手を振った。彼が見えなくなる時まで、ずっと。無事に帰ってこいと。
白尾国と北の大国と呼ばれているラミンの国境を目の前にして、ぶるーくは立ち止まった。くるりと後ろを振り返る。そこに仲間がいないとわかっていながらも、もしかしたらいるかもしれないという思いを抱いて。豆粒と同じくらい小さく見える要塞。そこには絶えず心臓を動かし続けている仲間がいる。
また会えるその日まで。
「また、明日」
ぶるーくが腰に着けている白い尻尾のアクセサリーが左右に揺れる。彼は今、国境を越えるための一歩を踏み出した。
世界の広報の一面を飾った彼らは、これからも注目を浴び続けることであろう。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葡萄。 - みるひかさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると自信に繋がるので嬉しいです。これからも楽しんでいただけるよう、頑張ります!! (2021年4月5日 16時) (
レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
みるひか(プロフ) - 完結おめでとうございます！ストーリーの展開が面白く、情景の表現も綺麗で読みやすかったです。番外編・外伝の更新も是非頑張ってください！ (2021年4月4日 23時) (レス) id: e1eab5f988 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葡萄。 | 作成日時：2021年3月17日 19時
