・ ページ12
・kintoki side
「早く行け」
そう真剣な眼差しで訴えられる。だけど、ここでシャークんを置いていったらこいつは最悪、死んでしまうかもしれない。万が一のことがあったら飛び降りろとは言われているが、やっぱり無理だ。ここで仲間を置いていくなんて、絶対に嫌だ。
なかなか飛び降りてくれない俺を見て、シャークんは少しだけ口角をあげる。そして、俺を窓から突き落とした。
「置いてかないで」
俺を置いてかないで。自分自身をそこに置いてかないで。俺の声が届いたのかはわからないが、最後に見たシャークんの瞳は翡翠色に揺れていた。
どうやって着地しようか何て、考える暇はなかった。気づいたら大きな木の上にいて、こいつがクッションになって助けてくれたんだと思う。ありがとう、なんて言葉を口にして、木から降りる。
「...シャケは」
大丈夫、あいつは強い。俺が仲間を信じてやらないでどうするんだ。前へ前へと進んでいく足が、まるで重りが付いたかのように重くなっていく。止まっちゃ駄目だ。だけど、もし、シャークんが死んでしまったら...。
俺は、また後悔を重ねることになる。
「きんとき！！」
突然、聞こえた俺の名前を呼ぶ声。はっと顔をあげると、少し先の方になかむがいた。子供っぽい白のパンダのパーカーを着て、白い尾を揺らしている。
「早く行こ！外にもカメラがあったから、十分間だけスマイルにハッキングしてもらってるんだ！」
シャークんは俺を逃がすために自ら命を懸けたんだ。今、戻ればその命を無駄にすることと同じだ。
「わかった」
俺はなかむのもとへ走った。後ろなんて振り返らない。振り返ったら、何かが俺たちを襲ってきそうだったから。三階から今もなお感じる殺気は、あいつのものかそれとも幹部さんのものか。俺にはわからなかった。
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葡萄。 - りゅうかさん» ありがとうございます!更新頑張ります!! (2020年10月1日 12時) (
レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
りゅうか - これ、すごく面白いです!更新頑張って下さい!応援してます! (2020年9月30日 18時) (レス) id: bcaef78a16 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄。 - 夜さん» お好みにあっていた様で良かったです!!私は髪、私は髪...(動揺) (2020年8月17日 12時) (レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
夜(プロフ) - 神ですか？？？？好きです… (2020年8月17日 10時) (レス) id: 0de64ad68c (このIDを非表示/違反報告)
葡萄。 - るーさん» 何時もありがとうございます!!めっちゃ更新頑張ります! (2020年7月15日 16時) (レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄。 | 作成日時：2020年7月12日 14時
