◆ないしょ ページ7
あれは少しだけ昔の事だ
ゆきさんは乾燥に弱くて特に冬は口角炎になりやすいからリップクリームが欠かせない
リップクリームはゆきさんが自分で塗る事もあるけど俺が塗ってあげる事も多い
あの時もちょうど俺が塗ってあげていた
「ん。ゾムおおきになぁ」
俺はついゆきさんの唇をじっと見つめてしまっていた
塗ってる時に手に伝わってくるふにふにした感触
男でもこんな唇って柔かいんやなぁ、とか思うと同時にふと触ってみたくなった
ただリップ塗ったばっかの唇に指でべたべた触るのもどうかと思って少し悩んだ結果
俺は自分の唇をゆきさんの唇に押し当てていた
「……ん」
ゆきさんが不思議そうな声を漏らしてぱちくり瞬きする
俺は自分が何をしてるのかに一瞬遅れて気付いて慌てて唇を離した
あんまり口塞いでるとゆきさんが苦しくなるしとか考えた直後にそうじゃないやろと自分で自分の思考にツッコミを入れる
何しとんねん俺、せめて許可取るとかあったやろ、みたいな思いが頭を埋め尽くす
「あっえーと、ちゃうねん！その、」
必死に弁解を始めようとする俺の体をゆきさんがそっと抱き寄せる
腕の力なんか全然無いはずなのに俺は簡単にゆきさんの腕の中に収まった
ゆきさんはじっと俺に目を合わせて悪戯そうにゆったり笑う
「何がちゃいますのん」
「あー、……ゆきさんの唇がな、ぷるぷるで柔かそう思って、うん……はい」
俺はゆきさんに嘘がつけない
ゆきさんはせやねんかぁ、と頷いてから向こうから唇を重ねてきた
俺よりも少し長く触れてたかと思ったら今度はついばむみたいに何度も唇を押し付けたりする
ゆきさんの唇はふわふわで温かかった
「これでゾムの唇もぷるぷるなるなぁ」
そうやってにこにこされたら敵わない
俺はずっとゆきさんに黒星しかあげていない
その次の日にも俺がゆきさんにリップを塗ってあげていた
あんな事があったからいつもやってる事なのに変に意識してしまって落ち着かない
うまく隠したと思ってたのにゆきさんはそんな事お見通しだったらしく
塗り終わってキャップを閉めているといつも通りの笑顔でこう聞いてくる
「なぁゾム、もっかいちゅぅしよか」
俺はゆきさんの誘いは断れない
大人しくゆきさんの傍に寄ると優しく抱きしめられる
「みんなにはないしょやねんなぁ。ないしょ、ないしょ」
ゆきさんは俺の頭を撫でながら子供に言い聞かせるように穏やかに言った
それから俺がリップクリームを塗った後は決まってないしょの時間になっている
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暁 - ちょっともう,,,なんかもう,,,うあああああ(どした？) (7月22日 17時) (
レス) @page18 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - ｯﾌ、控えめに言って最高。凄い好き。めちゃ良かったです。うん、好き、凄い。(語彙力が溶けています。) (2020年6月17日 13時) (レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
シスター(プロフ) - 初めまして読ませていただきました好きです！！！(クソデカ大声)ゆきさんもzさんもめっちゃかわいい……！ (2020年3月11日 10時) (レス) id: 365d4d5e9b (このIDを非表示/違反報告)
狂威 - やぁ〜…いい話に、まさかのゾムさんとはんなり爆弾魔の腐とわぁ〜…惚れますわぁ〜。語彙力溶けるw次の更新も楽しみにしてはりますね〜 (2019年5月7日 11時) (レス) id: 940cea6fb8 (このIDを非表示/違反報告)
うら(プロフ) - え…すごい好き…更新頑張ってください。応援してます。 (2019年4月13日 14時) (レス) id: a5cd1ec160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：折り紙付き | 作成日時：2018年12月25日 9時
