僕と君と僕らの物語【短編集】 (ページ4)

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親友と再会と夜の風 * Shota.W ページ4

『ね、渡辺って覚えてる？』

小学校からの幼なじみで親友である日菜子と久しぶりのご飯。うちらも仕事終わりでお酒飲むようになったね、なんて話していたら、彼女が突然そんなことを尋ねてきた。

｢わたなべ？｣

『そう、中学の時の。』

同じクラスだったことあるじゃん、と言われ記憶を遡ってみる。わたなべ、わたなべ…。いたような…。

『ほら、途中でジャニーズ入った、渡辺翔太ってヤツ！』

｢あぁ～…｣

たしか中1か中2で同じクラスだった渡辺くん。当時ちょうどジャニーズになったくらいで、学年中、いや学校中の話題になっちゃって、休み時間にはクラスにたくさん人が来ていた。

｢その渡辺くんがどうしたの？｣

『山本がこないだ渡辺と飲んだって言うから、私も渡辺と話したいって言ったら、飲みセッティングしてくれるって！』

山本っていうのは日菜子の一番の男友達で、中学からの仲。私も日菜子きっかけで彼とは仲良くなった。

｢え、日菜子渡辺くんとそんな仲良かった？｣

『んまあ、普通にクラスメイトって感じ？』

この子は明るくて社交的だけどちょっとミーハーな部分がある。彼とどうこうしたいわけじゃないと思うけど、ただジャニーズの彼が気になるんだろう。

『最近グループに入ってて結構人気あるんだってさ！気になるじゃん。』

｢やっぱり。ミーハーだ。｣

『別にいいじゃん。元クラスメイトがアイドルだよ？面白くない？』

『だからさ、Aも一緒に行こうね？』

｢…は？｣

｢え、私、渡辺くんと全然関わりなかったけど、｣

『でもクラス一緒だったでしょー？』

｢いや一緒だっただけ！｣

『十分関わりじゃん！』

｢ないよ！てか、渡辺くんだって私の事知らないよ、｣

『でもクラス一緒だったっていう事実はあるんだからさ、他人ではないでしょ！』

なら問題なし！って満足気に言い切ってジョッキに少し残ったお酒を飲み干した日菜子。

日菜子みたいに男女問わず仲良くしてたような子ならまだしも、私みたいに基本女子と一緒にいたような目立たない人間がそういう場にいたら気を悪くするんじゃないかな。特別思い出もないし、ただ芸能人ってだけで飲みに行くような、真のミーハーだと思われないかな。

｢えぇ～…。｣

『わかった！今日奢るから！私もさすがに1人だと心細いの！ね、お願い～』

｢…わかったよ。そのかわり、ちゃんといい感じに雰囲気作ってよ？｣

『任せといてよ！』