僕と君と僕らの物語【短編集】 (ページ1)

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ラーメンとチョコレート * Hikaru.I ページ1

辰｢照ー、ラーメン行こうぜ～｣

Aとの出会いは、ふっかに連れられて行ったラーメン屋。中々風情があって、あまり人気のないところにある店だった。

辰｢ここ最近よく来るんだけど、どれも美味いのよ。｣

照｢ふっかがよく行くって珍しくね？｣

辰｢そうね、もう俺常連。｣

目の前に置かれたのはふっかに勧められた味噌ラーメン。メニューの写真で見ても美味そうだと思ったけど、湯気のあがる本物を見て、これは絶対にうまいと確信した。

照｢うわうめぇ～｣

辰｢やばいっしょ？｣

照｢やばい、うますぎ｣

ふっかと横並びで黙々とラーメンをすする。スープも麺も美味くて、しかも相性バッチリ。チャーシューもやわらかいし、メンマはシャキシャキでいい歯ごたえ。ふっかがハマる理由がよくわかった。これはほかのも食べたくなる。

辰｢お、こんばんは。｣

店の扉が開く音。お客さんも出入りするだろうし大して気に留めていなかったが、ふっかが反応したので扉の方に目をやる。

｢あ、こんばんはー。｣

このラーメン屋には似つかわしくない、若い女性。ベージュっぽいふんわりしたブラウスを着ていて、可愛らしく素朴な雰囲気。ふっかと知り合いなのだろうか。不思議がる俺に気付いたのか、ふっかが口を開く。

辰｢あ、あの子も常連なの。ここでよく会うからいつの間にかしゃべるようになったんだよね。｣

常連だと聞いてより驚いた。可愛らしい見た目と裏腹に、1人でこういうラーメン屋にきてラーメンをすすっているのか。ギャップすごいな。

辰｢今日は何にするんすか？｣

｢そうですね～、さっぱりいきたいから塩！｣

辰｢おーいいっすね！｣

店主のおじさんもはいよ～、と嬉しそうに作業に取り掛かった。女性は俺の視線に気付いたのか、ちょっと気まずそうに会釈をした。

｢なんかすみません、｣

照｢え？、いやいや、大丈夫っすよ。｣

辰｢あ、こいつ、俺の仕事仲間で照っていうんです｣

｢そうなんですね。はじめまして、篠原です。｣

照｢あ、岩本です。｣

辰｢深澤でーす｣

｢知ってますよ(笑)｣

照｢お前誰に名乗ってんの？｣

辰｢あれ？(笑)｣

こういうとき、ふっかってすげえなって改めて思う。ラーメン屋の常連同士でよく会うとはいえ、話しかけちゃってこうしてなんとなく仲良くなってしまうんだから。しかも相手は女性。本当にコミュニケーション能力が高いな。