やわらかな午後に遅い朝食を【短編集】 (ページ8)

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涼｢怖いって、思う前にしんじゃってるかもよ｣
｢、そんな、さびしいこと言わないでよ｣
涼｢少なくとも俺は、Aには怖いって思いながらしんでほしくないな｣
｢それは私もそうだよ。｣

情報番組はもうとっくに次の話題に移っていて、さっきまでのかなしい雰囲気なんてなかったかのように今度始まるドラマの見どころを紹介してる。世界ってこんなものだ。日常と｢死｣は常に背中合わせ。

軽くため息を吐いたAはスマホをとって操作し始めた。おそらく仕事の連絡やらSNSのチェックやらだろう。答えの出ないことを考え続けるのは中々にエネルギーが必要だ。疲れたら考えるのをやめたらいい。

涼｢お昼ご飯、俺つくるね｣
｢ありがと～、嬉しい。楽しみ。｣

生きていくことは終わりに近づいていることでもある。だけど、終わりを考えて生きてもしょうがないから、毎日、毎秒を大切にして生きようと思う。目の前にいる大切な人と一緒に。

お昼は何にしようかと冷蔵庫を開ける。中途半端に残ったレタスがあるから、チャーハンにでもしようか。確か、冷やご飯があったはず。

｢私さ、さっき考えてたんだけど｣

向かい合わせでチャーハンを食べていると彼女は言った。

｢涼太に先に死んでほしくないなって思ったけど、私が先に死んだら涼太ひとりになっちゃうでしょ。私ひとりになりたくないけど涼太をひとりにしたくもないの。
そしたら同時に死ぬしかないけど、それはさすがに非現実的じゃん？
だから考えてもしょうがないから、とりあえず一緒に生きていければいいかなって。最期のこと考えるよりも、どう生きていくかを考えればいいよね｣

さっきと打って変わってすっきりした顔で笑う彼女には、やっぱり敵わない。

涼｢うん、俺も賛成。｣

君の笑顔で生きていける