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ページ39

仰向けに寝転んだ彼女を自分の方に向けて正面から抱きしめる。普段寝る時はあまりくっつかないから慣れなくて恥ずかしいけど、顔が見えないから好都合だ。


「翔太…?」

翔「なに、」

「いや、なに、って…」

翔「なにがあったの、」


なるべく優しい声でたずねる。腕の中の彼女は言うか言うまいか迷ってるのか、黙り込んだ。
沈黙の中でまた少し眠気が戻ってきたところで、彼女が口を開いた。


「引かないでね、」

翔「…ん?」

「くだらないって、思わないでね」

翔「…ん」


「…おちたの、」


翔「…んえ?」


我ながら情けない声が出た。「おちた」って言ったよな?上手く働かない脳にムチ打ってなんとか理解しようとするけど、全然わからない。引く引かない以前に理解が追いついてない。


「おちて、真っ暗な闇に吸い込まれて、怖くて、叫んでるのに声出てなくて、ずっとおちるし、」

翔「まってまって、」


さっきだんまりを決め込んでいたのが嘘のように話し出した彼女。おちて、怖くて、声出なくて…。それって、


翔「…夢?」


彼女は俺の胸でこくりと頷いた。いつもしっかりしている彼女が今は小さな子どもみたいで可愛くて、つい笑いがこぼれてしまった。


「、笑わないでよ」

翔「ごめん、(笑)」

「ねえ、」


「ほんとに怖かったんだから」と少し涙声の彼女。そんな彼女を包む腕に少し力を入れた。



翔「大丈夫、支えてるからもうおちない」



そう言うと彼女の体から力が抜けたのがわかった。右腕に感じる重みがぐっと深くなっていく。

怖い夢を見た彼女を寝かしつけてあげようと思ったけど、自分のまぶたの重みに耐えられなくなってきた。眠気を押し切って彼女の様子をうかがうと、深い呼吸で背中が動いているのが確認できた。もう大丈夫だ。怖い世界に閉じ込められて怯えていた彼女も、今は腕の中で穏やかに眠りについている。いい夢を見れますように、と願いを込めて彼女の頭を撫でた。

押し寄せてくる眠気に、今度は素直に身を預けた。





おやすみなさい、いい夢を。

君の好きなところ * Ryota.M→←Sweet dreams * Shota.W



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エマ(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます! (2020年6月26日 10時) (レス) id: 33d9c37471 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エマ | 作成日時:2020年6月26日 8時

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