コンビニエンス・ロマンス

返事は？ ページ39

夢みたいな出来事が起きた。


彼に言われた少女漫画の最終回みたいなセリフに、思わず私の口から出た返しは、「知らなかった」だった。

幻か？と思うような時から離れ、ふわふわの感触の廊下を歩き、おぼつかない手でかろうじて料理をし、味のないご飯を食べた。
そのままお風呂に入り、いつも通り私はベットで、ハニくんは床で眠った。


そして今はそれから何時間か経った朝。
やけに眩しい日差しがカーテンの隙間から差し込んでいて、ハニくんがうざったそうに目を擦ったのをみて、小さく心臓が跳ねた。




「あのさぁ、返事は？」





「 え」






バターを食パンに塗って朝食にしようとした時。
ハニくんがそう切り出してきた。




「だから、あんたさ、正直 俺の事好きだろ？」



目を合わせて、すぐ逸らされた。
夢のようだとふわふわした感覚でいた私を弾けるように昨日の夜に引き戻すような一言。
核心を突かれて、私は脳内では叫び声をあげていたけど、現実世界ではフリーズしてしまいジャムを塗っていたスプーンを落とした。

目の前のハニくんは落としたスプーンを拾って、皿に置くともう一度私と目を合わせて、また逸らした。
前髪をシュシュで結って可愛らしいのに、男らしく豪快に食パンを噛みちぎった。シャクシャクと音をたてて咀嚼しつつ、彼は変わらず斜め下目線だ。その時、少し俯けば顔が隠れてしまうくらいの彼の長髪の隙間から、火がつきそうな赤い耳を見つけた。

完全に反則→←もう大丈夫です

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