episode31 ましゅーるさんリクエスト�� ページ1
こんなに人がいると知ってたら来なかったのに。
大勢の人が参拝に向かう列に並んで、かじかむ手に自分の息をかける私を、ふはっと嬉しそうに目を細める。
笑うとくしゃってなるその眼が好きだ。
行き場のない想いを心の中で処理するのが上手くなったのは私が少し大人になったからだろうな。
前を歩くカップルは彼女が手を温めるために彼氏のポッケに手を入れていて、その姿が心底羨ましい。
私たちはそれぞれのポッケに入れるしかなく、ましてや手なんて繋げない。そんな関係をもう何年を続けてる。
冷たい風が容赦なく髪の毛を乱して、あまりの寒さに体をぶるっと震わせた。
「……ん、」
「……いいよ、別に」
「んー？女の子は身体冷やしたらあかんで」
こうなるとこの人はしつこい。
断っても無駄だと分かってるから大人しく彼のマフラーを首に巻いておくと、満足げに微笑む。
実際は彼が言った「女の子」ってワードにいちいち傷ついてる。
私は、その他多数でしかない。
「あ、帰り甘酒買ってもええ？」
「うん、私も飲みたい」
「お子ちゃまは飲んだらあかんよー？」
「うっさい、年明けたらもう20歳じゃ」
「ははっ、元日が誕生日やもんなぁ」
もうすぐ、成人式。
それが終わったら引っ越しの準備をして、
この街を、離れる。
生まれた時から私の隣にはいつも彼がいたのに。
それが当たり前じゃなくなると私はどうなるんだろう。
ドン、
「…あ、すみませんっ」
混雑してきたせいか、すれ違う人に肩がぶつかる。よろめく私の身体を受け止めて「大丈夫か？」と顔を覗き込む彼。
「ん、はぐれるとあかんから」
「…………、……」
差し出された手を、素直に繋げるほどもう可愛くなんかない。
きっとこれもただの優しさ。
そう思うと手は余計にポッケに深く入れた。
「だい、じょうぶ．」
「……あそ、」
優しくされてもちっとも嬉しくなくなったのはいつからだろう。
「なぁ、5円ある？」
「えー、なんでもええやん」
そ
「あかんやん、ご縁がありますよーに、の5円やん」
「はいはい」
チャリンとお賽銭を入れてパン！パン！と手を合わせる。
いつも昔から願い事はひとつだった。
だけどいつからかなんとなく手を合わせるだけになってしまった。
チラッと隣の彼を薄目で見ると、まだ手を合わせてた。
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もりかな(プロフ) - PART4おめでとうございます！！いつも楽しく読ませていただいています！ゆずるさんオチで秋山さんと三角関係的なお話が読みたいです。たくさんのリクエストがきてて大変かと思いますが、もしよければ書いて頂けると嬉しいです(＞＜)よろしくお願い致します！！ (2019年1月5日 0時) (
レス) id: b572629813 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - ましゅーるさん» こちらこそありがとうございます(TT)私も気づいたら明けてましたよ 笑。カウントダウン行けた人羨ましいです^ ^ 嬉しいお言葉ありがとうございます(TT)頑張ります！またリクエスト気が向いたらしてください^ ^ (2019年1月3日 21時) (レス) id: 722850fb8f (このIDを非表示/違反報告)
ましゅーる(プロフ) - part4おめでとうございます！(о´∀`о) もう最高です。現実では気が付いたら年開けてた状態だったので…笑。 クリスマスと大晦日を素敵にしてくださってありがとうございました！これからも頑張って下さいm(__)m 私はこれからも楽しませていただきますね！m(__)m (2019年1月3日 10時) (レス) id: 3456f96f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅん | 作成日時：2019年1月3日 8時
