10話 ページ10
「なるほどねぇ、そういう状況なわけか」
「……なにその顔」
にやにやさっきから俺の方を見る秋山くん。
全部話したわけやないけれど、ある程度昨日のことを伝えたら、それはもう俺の好意はだだ漏れなわけで…
「賢ちゃんは、Aのこと好きなん？」
やっぱりそう思うよなぁ。
「……昨日までAちゃんのこと忘れてたのに虫が良すぎるよなぁ…」
「まぁ、それと賢ちゃんがAを好きかどうかは別じゃないん？」
昔そういえばあんな子いたなぁって記憶の片隅にあっただけやったのに、
それでも昨日久しぶりに会って、大人になったあの子を見て思った。
俺がAちゃんに対して抱いていたこの感情は、恋以外の何物でもないと。
だけど……好きとか、そんなん…
一瞬、頭にゆずるの顔が浮かんだ。
「………気にはなってるよ」
それを簡単に口に出せるほどの若さもない。
ほんまはもうかなり入れ込んでると思うけど…
素直になるのも怖いっていうか…
大人になるって嫌やな…
「そっかそっか！ええやん！青春やん！」
「いや、俺もう30やから」
「賢ちゃんならなんか俺は安心やわ！ちぃも懐いてるし！」
懐いてる…か？
「……でも、返信こんねんなぁ…昨日もたまになんか素っ気なくて…」
「そんな気になるなら今日電話して見たら？」
「え！電話？そんなんしてええの？」
「自分の気持ちを確かめるために行動するんもありなんちゃう？」
そうなんかなぁ、って目を擦りながら悩む俺に秋山くんは背中をバシッと叩いてきた。
「賢ちゃん弱気なんなんからしくないわぁ」
「こう見えて久しぶりやねん、こんな気持ちなんの」
「最後に付き合ったんいつよ」
「………5年、前？」
「うわぁ、…………賢ちゃん、焦らず賢ちゃんのペースでええからな」
「いや、励まし方なんか嫌やわ」
「じゃあもうすぐ出番やから、行くわ」と舞台袖に向かう秋山くん。
ちょっと心が軽くなった。ありがとう。
電話かぁ…
「……かけてみよかな」
仕事が終わったらすぐ帰ろう。
そう心に決めてスマホをポケットに入れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 514人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゅん(プロフ) - リタさん» リタさん。かなり前にコメントくださってたのに返せなくてごめんなさい。河井さんが実は重要な人物だったりします＾＾更新しましたので読んでくださると嬉しいです。 (2019年9月24日 21時) (
レス) id: 722850fb8f (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - なむなむさん» だいぶ前にコメントくださってたのに返さなくてごめんなさい。嬉しいコメントありがとうございます^ ^更新しましたので読んでくださると嬉しいです。二人の行く末を見守ってください＾＾ (2019年9月24日 21時) (レス) id: 722850fb8f (このIDを非表示/違反報告)
リタ - めちゃめちゃキュンキュンします！健気！でもゆずるくんと今後どうなるのかも気になるし胸が痛くなるけど、それ以上に川西さんがかっこよすぎます更新待ってます(>_<) (2019年2月7日 0時) (レス) id: becfb912c1 (このIDを非表示/違反報告)
なむなむ - 更新待ってます！めちゃくちゃキュンキュンして早く2人の恋がかなってほしいです！ (2019年1月6日 15時) (レス) id: e31a65da9f (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - おこめさん» おこめさんごめんなさい〜(T . T)止まってますがちょっとずつ貯めて更新を企んでます^_^365日ばかりに力が入ってしまい反省です(T . T)更新頑張ります！また遊びに来てください(^^) (2018年12月9日 14時) (レス) id: 722850fb8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゅん | 作成日時：2017年12月19日 9時
