死神との踊り方【半i間i修i二】

9曲目 即興曲 ページ9

▽



​─────あたかも簡単に。否。



　私はふと思い出した。


「 もしかして、私の家に来たときの暴行事件て半間くん？ 」

「 おーそうだけど？今更じゃん。てか何その呼び方ウケる 」


　呼び方に対してにやにやしているのがちょっと腹が立ってきて、「街中だから、何となくよ。半間くん」と引きつった笑みで答えた。いやいやそれにしても、何となく思い出したあの時のネットニュースの犯人でもあったりするってこと…！？
　今更ちょっと怖くなってきた、ドメスティックなバイオレンスなことされちゃったら私どうしよう。なんなら殺人幇助罪とかって指名手配の紙に書いてるぐらいなんだからなんなら力加減誤って死ぬ気も考えられる。


「 匿ってくれたオンジンにはなんもしねーから安心しろよオネーサン♡ 」

「 いや全然信じられないんだけどこっわ 」


　改めて考えてみると指名手配犯匿ってるという状況に今更ちょっと緊張感を感じて、ちらりと視線を横に向けると警察署があってその近くを平凡に何もないふうに通り過ぎようとしている。内心、かなり気が気じゃなかった。
　休み明け、三ツ谷先輩に例え話という名の相談をしてみた。


「 もし指名手配犯を知らずに匿ってたら？そりゃ気付いたら通報するだろ 」

「 ですよね〜。あ、例え話ですからね 」


　三ツ谷先輩は中学時代ヤンキー？をやっていた割には正義感が強い、そして優しい。私みたいに意志薄弱じゃないからなぁ。やっぱり警察行った方がいいかな…？これで取り逃がしたりしたら、仕返しに来たらどうしよう。


「 心理テストかなんかか？ 」

「あ、はいそんな感じです」


　若干訝しむ様子があるけど、流石に私がそうしてるとは思ってないはずだ。仕事終わりスーパーによって食料品を買って、帰路に着くと昨日通り掛かった警察署の前で急いで車に乗って目の前を走っていく警察署の車を見ているとなんだか緊張してしまう。完全に私にやましい心があるみたいだ。やっぱり自首？通報？しかしそんなときに、悪魔の囁きのように彼の言葉を思い出す。

​──アンタもう共犯な♡

　ちらっと持っていたスマホで“指名手配犯 匿う 罪”と検索をかけると犯人隠匿罪、蔵匿罪なんかが出てきて頭を悩ませる。


「 まだ私の人生これからなのに… 」


　やっぱり無理だ、と私はいつもと変わりなく指名手配犯がいる自宅に帰宅した。


△

10曲目 諧謔曲→←8曲目 八重奏

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す