シェアハウスはじめました３ 【ars】

【桜色舞うころ】２ ページ4

二週間ほど前、最初の蕾が開いたのを見つけた相葉は、
満開になるその時に向けて着々と準備を進めていた。
最初はビニールシート。次に酒類。最後に乾物。
松本に作ってもらおうと、おつまみになりそうな材料も冷蔵庫にストックした。

いつか、と準備していた予定が現実になり、今日は朝からテンションMAXな相葉を筆頭に、
到着したマネージャーの車へと乗り込んだ。
みんなが揃っていることと、夜の予定のおかげで今日は楽しく過ごせそうだと相葉がにやけると、
心の内を察したのか隣に座った二宮が気持ち悪っ！と一蹴した。



「さ！みなさんビールはまわりましたかー？」

「イエーッ！」

「静かに！静かにねッ！」

「お前もなっ」

「はいそれでは！桜にカンパーイ！」

「「「「カンパーイ！！」」」」

夜10時。
相葉の乾杯の発声と共に夜桜を肴にしての花見が始まった。

遅い時間ということもあり、室内での開催という事で話がまとまったが、
せっかく意気込んで色々と用意をした相葉のために、
乾杯だけは桜の木のと共に行う事となった。

それに、寒かった。春なのにその日は昼との寒暖差が大きく、
松本は一度クローゼットの奥に仕舞っていたダウンジャケットを着こんだ。

松本がいつの間にか作っていたつまみ達は
リビングのテーブルに次々に並べられた。
その様子を見ていた櫻井が一足先につまみ食いをして、
うめー！！と感嘆の声をあげたので、その美味しさは間違いないようだ。

折り紙つきの酒の肴と、何と言っても春の風物詩の効果は絶大で、
次々にゴミ袋に空き缶がいっぱいになっていった。

「だからさ、俺本当に嵐で良かった！ね！リーダー！」

「また始まった…」

酔っぱらって嬉しくなった相葉のお決まりの常套句が場に響き渡り、
いつもよりテンションが若干高めの大野がにっこりとそれに頷いた。
他の三人は決まっていつもやれやれという目で二人を見つめる。

相葉はしっかりと同意をしてくれる大野の隣に席を移した。
その小柄な肩に手をかけ肩を組むと、相葉の腕に大野はすっぽりと収まった。

気分がよくなった二人は、話も盛り上がりハイペースでお互いに酒を酌み交わすと、
その日の収録の疲れもあってか、気が付けば2人ともうとうとと
お互いの肩に寄り添いながら舟を漕ぎ出してしまった。

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