シェアハウスはじめました３ 【ars】

【桜色舞うころ】１ ページ3

「見て！」

カーテンを開いて窓の外の景色を見た相葉が嬉しそうに振り返って声をかけた。

その声に他の4人が声の元へと首をむける。

「満開だよ！」

くしゃっと顔を崩した全開の笑顔の背景には広がるピンク。
一足先に咲き誇った数枚はそよ風にのせてヒラヒラと散ってゆく。その姿もまた美しい。

一軒家の庭の隅に植わっている小さな桜。
ここに越して来た時からその存在は気が付いていたが、桜の木だと気がついたのは蕾が膨らみ始めたころだった。
その頃から相葉は、その花が咲く日を心待ちにしていた。

興味を持った他の4人も松本も筆頭に庭へと足を運んだ。
街中で見るような大きな幹の桜とはまた違う趣がありなんとも可愛らしい。

「結局なんて桜だろうね」
「ねー」

以前気になって相葉と櫻井が調べたが、桜にも意外と種類があることが分かって、
素人目にはそれを判別することは出来なかった。

「でもよかったね、ちゃんと咲いて」
「相葉くん楽しみにしてたもんね」

二宮と大野が微笑むと相葉もうんうんととびきりの笑顔で頷き、意気揚々と声をかけた。

「今日はみんな終わり時間一緒だよね！
その後予定ある人ーー！」

「ないよー」
「俺もー」

相葉が皆に問いかけると各々返事が返ってきた。
毎週火曜日は5人の番組の収録なので、朝から晩まで顔を合わせることになる。
一緒に暮らしている事を考えればそれこそ四六時中になる。
別の仕事や私用が入っていなければ朝も夜も移動車は一緒だ。

「大丈夫？暇ね？そしたらお花見しようよ！夜桜で！
俺ね、もうビニールシートとお酒は買い込んでるから！」

「だから冷蔵庫に入りきらないのが溢れてたのか！」

「やる気満々だな！」

冷蔵庫に向けて指を指しながら喜々として宣言すると、
ツッコミやら呆れた台詞が次々と出てくるが、
その奥に見えるのはしょうがないなーという暖かい笑顔だ。

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